アストルティアの花と風景を紹介する記事を書いています。今回は、レンダーシア(内海)編として、スレア海岸とマデ島についての記事を書いていきます。
ナルビアの町外れにある岩山に穿たれた隧道を抜けると、かつて町に住んでいた錬金術師が隠居しているという、スレア海岸という場所に出ます。
隧道の出口は思いの外高い場所にあったようで、隧道を抜けた途端、眼前に広がる奇観を一望することになりました。
足元には、日射しと潮風に晒されても逞しくも可憐に咲き揃う花が3種類。桃色と黄色い花は、この場所で始めて見る花です。白く細い花弁の花は、形はガタラやサザミレ草原の花に似ていますが、はっきりとした白さを持ち、草丈も違うので、別種と考えてよいかと思います。
そして、この砂浜の不思議な有り様に、初めて見た時には思わず暫し立ち尽くしてしまいました。
砂州と浅瀬が、良く見ると渦というより、同心円を描いています。
中心には、他では見たことがない種類の巨木が一本。この不思議な巨木が更に奇妙なのは、根元の部分は燐光を帯びた岩のような姿をしていることです。
もしかしたら、根元の光る部分は木の根ではなく、本当に岩なのかも知れない、ひょっとしたら、何時とも知れない昔に、この光る岩がこの場所に墜ちてきて、この木は岩が運んできた種から芽吹いてきたのかもしれない。砂浜の模様は、何処からかやって来たこの木が大地に出会った瞬間の記憶を今なお留めているのかも知れない…等と、砂浜まで降りながら、考えたりもしたものです。
この木がどうしてここにあるかは謎のままですが、ある大型配信クエストでは、異世界から渡ってきた夢占い師の助力を得て、この木を介してとある破壊神の根城に乗り込んでその野望を阻止することになります。しかし、メインストーリーを進めるにあたり、大事な舞台となるのは、海岸から少し奥まった場所にあるヤシの木に囲まれた一軒家の方になります。
家の主の名はイッショウと言い、引退した老錬金術師です。
そして、彼は私の兄弟の師匠だったというのです。
しかし、奇妙なことに、兄弟が彼のもとで修行を積んでいたのはもうずいぶん前だったようなことを言って来るのです。
しかも何やらひどい不義理を働いたまま彼のもとを離れたようで、身内ならば迷惑の後始末をしろとまで言われてしまいます。
色々釈然としないままではありますが、兄弟の名前と私の名前、何より錬金術師であることから、とても他人とは思えません。
イッショウ老師への迷惑の後始末をするため、彼の娘のリリオルを探して会いに行くことになりました。
リリオル嬢を探してやって来たのが、マデ島という、飛龍の翼を借りずには行けない絶海の孤島です。
今では小さな島ですが、遥かな昔は巨大な神殿が聳えていたとのこと。
海上に出ている遺跡の下の海底を良く見ると、確かに大規模な建造物が沈んでいるのが見て取れます。
遺跡部分の青黒い石を組み、複雑で精緻な紋様を施した様式は、他では見たことがないものでした。
一体いつの時代のものなのか、どんな神のための神殿なのか…、初めて訪れた時には、後にどれほど自分自身に深い関わりを持つか、など、勿論知る由もありません。
マデ神殿跡には、孤島の修道院と呼ばれる施設が建てられていました。
岩山ばかりで僅かな草があるばかりのマデ島では、この修道院のまわりに少しだけ、小型の花やカラーリーフの茂みがあります。外にあるこうした草花はもとから島にあった種類のようですが、建物の中には、おそらく各地から流れ着いた修道女らが持ち込んだのであろう、アストルティア各地の花たちで飾られていました。
尋ね人であるリリオル嬢は、この修道院で見つかりました。
そして、リリオル嬢の口から、私の兄弟の消息を聞くことになります。
総括すると、どうやら私の兄弟は、数十年昔の世界に移動してしまっていたようでした。
故郷が滅びたあの日、私自身が一度命を落とす直前に何をしたのか、この時になって解ったのです。
あの日あの時、私はただ必死に願いました。
死なないでほしいと、ただそれだけ。
その願いが、どんな結果を生むかなど、まったく知らないままに、ただ願い…、
私の中に眠っていた力、時渡りの力が発動し、兄弟を過去の世界へ飛ばしてしまっていたのでした。
リリオル嬢によれば、寄る辺のない身をイッショウ師に拾われた兄弟は、修行により力をつけ、過去のエテーネ村に帰還したとのことでした。
そして当時の村の巫女から重要な使命を授かったというのです。
しかし使命を果たすには危険を伴うため、師匠にも黙ったまま二人でナルビアを離れたのでした。
次回は、ラゼアの風穴についての記事を書く予定です。