アストルティアの花と風景を紹介する連載記事を書いています。
ストーリーに沿って、初めて見る植物や風景を紹介していきます。
今回は、ナドラガンド・炎の領域の炎樹の丘と煉獄の谷について書いていきます。
アストルティアから誘拐された神の器達を探すため、ナドラガンドにやってきた私ですが、到着早々に大怪我をしたところを竜族の神官エステラに救われます。ひとまず竜族が暮らすアペカの村に滞在させて貰うため、村長の求めに従いナドラガ神の祠で祈りを捧げて戻ろうとしたその時、荒野に倒れている人の姿を見つけました。
彼はギダという名のアペカの村の若者で、村の主だった者達とともに最近村を襲ってくる魔炎鳥の討伐に向かっていた1人でした。
しかし、戻って来れたのは彼1人。他には誰も生き残らなかったというのです。
村長から仲間を残して戻った臆病者と詰られ、自身も消沈しているギダをエステラが庇い、その後エステラは着ききりで彼を看病して魔炎鳥との戦いの顛末を聞き出しました。
すると、戦いの場からギダが1人村に帰されて来たのは、彼にしかできない使命があったからだと判ったのです。
魔炎鳥との戦いに臨んだ村人達でしたが、相手は不死身に近い存在で、ただ倒そうとしてもたちまち回復してしまい、消耗の末に村人達が力尽きていったと言います。
そんな絶望的な状況で、何かに気付いたのはギダの兄でした。
ギダの兄は魔炎鳥の尾羽根を1本取り、ギダに渡して言いました。
炎樹の丘に行け。そしてあの曲を弾け、と。
そしてギダを無事に逃がすため、自らはその場で自爆して魔炎鳥をすみかに足止めしたのです。
戦いの傷が癒えたギダが、兄の言葉に従い炎樹の丘に行ってみると言うので、エステラと私が同行することになりました。
炎樹の丘は、アペカの村から少し離れた森林地帯の奥にあります。
炎の領界の樹木は、梢一杯の葉がまさしく燃え立つ炎のように見える、いかにもこの世界に似つかわしい姿をした樹木です。
おおよそ橙色の濃淡に見えますが、所に依り、桃色がかって見える部分もあります。
地面には、単なる燃え立つ炎のかたまりか、はたまた炎のような草むらなのか判然としないようなものが所々に見られます。
そんな森林地帯の最奥に屹立する、ひときわ大きな木が、炎樹と呼ばれる特別な木であるようでした。
近づいてみると、その巨大さに圧倒されます。
そしてよく見れば、その梢からは、沢山の花房が下がっているのが判ります。
写真では判りにくいのですが、濃い桃色の花の形は藤の花のようなマメ科の蝶型花のように見えます。
更に梢からは、光の雨のようなものが絶えず降り注いでいました。もしかしたら、花から蜜が溢れているのかもしれません。
そんな不思議な木の根本から、ギダは大切な思い出の品を掘り出しました。
それは幼少時から愛してきた竪琴で、兄を喜ばせるためによく奏でていたものでしたが、暮らし向きの厳しい村では咎められ、仕方なく封印していたものだったそう。
そんな兄が残した最後の言葉の意味を探り当てたギダと、そしてエステラとともに、私は魔炎鳥のすみかがあるという煉獄の谷に向かいました。
煉獄の谷は意外にも、本来は村人とナドラガ神の結びつきに大事な役目を果たす場所でもありました。
谷底に降りていく道すがら、所々には写真のような植物が見つかります。
この植物の果実は豊炎の実と呼ばれており、よく熟したものはナドラガ神の祠に供物として捧げられるのだそうです。
このような場所にねぐらを構えた魔炎鳥の、その意外な正体…、
実は、闇の力に捕らえられ、本来の姿を失っていた、炎の領界の守り手である聖なる炎の鳥だったのです。
遠い昔、村人が炎の聖鳥の怒りを買うことがあり、その怒りを鎮め許しを乞うために奏でられた歌がありました。
祈り鳥の歌というそれを、ギダは意味を知らずに聞き覚えて奏でていたのですが、兄は曲の意味まで知っていたのでしょう。
果たしてギダの奏でるしらべに、更にエステラが歌を載せ、闇に墜ちていた聖鳥をもとの姿に戻すことが出来たのです。
復活した聖鳥によって、ギダの兄をはじめとする命を落とした村人達の魂は安息の地へと運ばれていき、それを見届けた私達はアペカの村に戻りました。
エステラから顛末を聞かされた村長はギダへの仕打ちを詫び、和解の時が訪れたアペカの村。
この先のことに思いを巡らせている私に、エステラが1通の書状を差し出してきました。
それは、炎の領界の中心地である聖都エジャルナへの立ち入りを許可する紹介状でした。
これまでの私の振る舞いをつぶさに見ていたエステラが、私を信用に足りると判断し、自分が属する教団の盟主にも紹介したいと言ってきたのです。
次回は聖都エジャルナ、烈火の渓谷、マティルの村周辺について記載する予定です。