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紡ぎし緑の者

アル

[アル]

キャラID
: CS433-198
種 族
: ドワーフ
性 別
: 女
職 業
: 旅芸人
レベル
: 140

ライブカメラ画像

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アルの冒険日誌

2026-06-21 00:38:53.0 テーマ:写真活動

『ほしのこもりうた』

「いらっしゃい。」



小さな声とともに、本のページがふわりとめくられる。



柔らかな灯りに照らされた店の奥。



本棚に囲まれた小さな椅子へ腰掛けたカッパの少女は、開いた本から顔を上げて微笑んだ。



「今日はどんなお話にしようかな。」



窓の外では、夜空に星々が瞬いている。
少女は少しだけ考えてから、本を胸に抱いた。



「そうだ。」



「今夜は、星たちが歌うお話をしよう。」



まるで誰にも聞こえない子守歌みたいな。



眠る魚たちと、静かな池と、一匹のカッパのお話。



遠い昔のことなのか。



それとも、今もどこかで続いていることなのか。



それはわからない。




けれど、風のない夜に耳を澄ませば、もしかしたら聞こえるかもしれない。




星たちの歌声が。





少女はそっと最初のページをめくった。





「それじゃあ、始めようか。」





「ほしのこもりうた。」 むかしむかし、山のふもとの小さな池に、一匹のカッパが住んでいました。




 名前はミズハ。




ミズハは夜になると、池のほとりに座って空を見上げるのが好きでした。




けれど、ひとつだけ不思議なことがありました。




満天の星が輝く夜でも、池の水面には星が映らないのです。




「どうしてだろう」




ミズハは首をかしげました。




風のない夜も、月は映るのに、星だけが映らない。




そこでミズハは、森の動物たちに聞いて回りました。



フクロウは言いました。




「星は遠すぎるからじゃないかね」




タヌキは言いました。




「池が星に嫌われているんだろう」




けれど、どちらもしっくりきません。




ある晩、ミズハがいつものように空を眺めていると、ひとつの流れ星が池の近くへ落ちてきました。




慌てて駆け寄ると、草むらの中で小さな星が泣いていました。




「だいじょうぶ?」




ミズハが聞くと、星はしゃくりあげながら答えました。




「みんなと歌っていたら、転んじゃったの……」




星たちは夜空で歌を歌うのだそうです。




ミズハは星を池のほとりへ連れていき、水を飲ませました。




すると星は少し元気になり、ぽつりとつぶやきました。




「この池、やさしい匂いがするね」




「そうかな?」




「うん。だから星が映らないんだよ」




ミズハは目を丸くしました。




「え?」




「星はね、眠っているものを起こさないために、水辺には光を映さないことがあるの。」




星は空を見上げました。




「この池には、小さな魚も、カエルも、水草も、みんな安心して眠ってる。だから星たちは光を映さないようにしているんだ」




ミズハは初めて知りました。




映らないのは、嫌われているからではなかったのです。





 優しく守られていたからでした。





やがて夜明けが近づきました。




星は帰らなくてはなりません。




「お礼に歌を歌うね」




そう言うと、小さな星は静かに歌い始めました。




言葉のない、不思議な歌でした。




風がゆっくりと揺れ、池の水面がきらりと光ります。



すると今まで映らなかった星々が、水面いっぱいに現れました。




まるで空がもうひとつできたようです。




「きれい……」
ミズハは息をのみました。




星は微笑みます。




「これはおやすみの歌。優しい場所だけに聞こえる、ほしのこもりうた」




歌が終わると、小さな星はふわりと空へ舞い上がりました。




そして夜空の仲間たちのもとへ帰っていきました。




その日からミズハは知っていました。




星が映らない夜があっても、空の星たちはちゃんと池を見守ってくれていることを。




だから寂しくはありませんでした。




そして時々、風のない静かな夜になると、水面にはたくさんの星が現れます。






そのたびにミズハは耳を澄ませます。






どこか遠い夜空から聞こえてくる、優しい歌を。






それは今も続く、









ほしのこもりうたでした。
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