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紡ぎし緑の者

アル

[アル]

キャラID
: CS433-198
種 族
: ドワーフ
性 別
: 女
職 業
: 旅芸人
レベル
: 140

ライブカメラ画像

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アルの冒険日誌

2026-06-28 21:20:49.0 テーマ:写真活動

『つきのかえりみち』

扉を開けると、カッパの司書は、もう本を開いて待っていました。






「いらっしゃいませ。」





そう言って微笑むと、古いページを一枚、そっとめくります。





「今夜は、月が落ちてきた夜のお話です。」 ある秋の夜でした。



川は星を映しながら、いつものように静かに流れていました。




そのときです。




ぽとん。




水音でも、木の実でもない、不思議な音が草むらの向こうから聞こえました。



カッパの少女が近づいてみると、そこには白くて丸いものが落ちていました。



両手ですくい上げると、ほんのりあたたかく、やさしく光っています。





「……お月さまだ。」





夜空を見上げると、本当に月がありません。



ぽっかりと、小さな穴だけが残っていました。



少女は胸がどきりとしました。




「空へ帰してあげなくちゃ。」




月を大切に抱えると、小さな足で走り出しました。



最初に出会ったのは、森のふくろうです。



「お月さまを空へ帰したいの。どうしたらいいかな」


ふくろうは丸いめがねをくいっと持ち上げ、夜空を見上げました。



「山のてっぺんへ行きなさい。
あそこが、この森で一番空に近い場所ですよ。」



少女は「ありがとう」と頭を下げ、山へ向かいました。



山の入り口では、やまびこが遊んでいました。



「てっぺんまでの道を知ってる?」



「しってるよ。」


山が答えます。



「しってるよ、しってるよ。」



少女は笑って、
「ありがとう。」
と言うと、教えてもらった道を、一歩ずつ登っていきました。




転ばないように。




月を落としてしまわないように。




風は少し冷たくて、木々は少女を応援するように葉を鳴らしています。



ようやく山のてっぺんへ着くころには、息は白く、肩は小さく上下していました。



見上げると、星たちがすぐ近くで瞬いています。




「帰ろうね。」




少女は月を両手で持ち上げました。






すると。






ふわり。






月は少女の手を離れ、夜空へ向かって、ゆっくり、ゆっくりとのぼっていきます。





まるで帰る場所をちゃんと覚えていたみたいに。




ぽっかりあいていた空の穴へ、月はぴたりとはまりました。





その瞬間、森も、川も、野原も。





やさしい月明かりに包まれました。





少女はほっと息をついて、夜空を見上げます。




さっきまで少し欠けていた月は、不思議と前より丸く見えました。




うれしかったのでしょうか。




それとも、「ありがとう」と笑ってくれたのでしょうか。








それは、月だけが知っています。








カッパの司書は、本を静かに閉じました。



「月が空にある夜は、不思議と川もきれいに見えるんです。」
そう言って窓の外を見つめます。




川には一つの月。




空にも一つの月。




「だから、このお話が好きなんですよ。」




ランプの灯りが、ページの余白をやさしく照らしました。




今夜もどこかで、月は静かに空を歩いています。
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