ウェナ諸島の影の支配者…いや、彼は影でなく雷そのものであった。ウェナ諸島を裏から操り、そして天からの恐るべき災の魔法をマスターしたある男。そんな彼の1日を『ニュー・ワールド・プログラム』に今組み込んでいる最中だ。
その日は天気が良く、雲一つ無いので若干熱いほどだった。
私は逃げるようにジュレットにつき、ギルドへ向かう。
ジュレットの町にあるさいほうギルドの扉が開く。そこから出てきたのはアフロヘアーのウェディ『マーレロ』であった。
マーレロ「おや?すまない、気付かなかったよ」
いきなり出てきたため、私は咄嗟の判断ができずぶつかってしまったが、すぐにマーレロが手を差し伸べてくれた。彼はウェディとレーンを巡回しており、人一倍正義感のある兵士だという噂が立っていた。私のことは見られてなかったと安心し、私はすぐさま立ち上がり礼をし、すぐさまギルドを後にしようとしたが
マーレロ「あ、あぁ。ギルドに用かな?」
彼はそう言い扉から少し離れ、此方に笑顔で続ける。
マーレロ「そうだ!ここで会ったのも運命だ。ワタシが服を作ってあげるよ!」
私は純粋な笑顔に断ることができず、さいほうギルドの中に招かれた。中では職人達が早朝なのにも関わらず大勢おり、会話をしていたり、裁縫をしていたりと各々が自由に行動していた。マーレロに手招きされ私は彼の裁縫を見ることになった。彼の手捌きは素人でも分かるぐらい上手く、1分で作られた。1分で作られたのにも関わらず、ちゃんと綺麗に縫われていることに驚いた。今覚えばそれは必然だった。
その後私は飯に誘われ、酒場に連れられた。しかしなぜか店内は客も店員もいなかった。マーレロが扉をゆっくり閉めると、その瞬間外の様々な音が遮断され、完璧な無音となった。そしてマーレロはゆっくりと此方に顔を向ける。その目には明らかな殺意があり、私は後退りをする。
マーレロ「…おや?見えてなかったとでも思いましたか?」
寒気と共に私は自分の顔が青白くなったことにすぐに気付いた。
マーレロ「祈りの宿で貴方の相方を殺害したところを目撃された…」
その時私の脳内にはあのときの記憶がフラッシュバックした、まるで走馬灯のように。昨日の真夜中、私は相方と共に祈りの宿を襲いに行っていた。計画は順調に進んでおり、金を手に入れ、逃げようとしたその時、外で巨大な雷音が鳴り響いた。相方は外に様子を見に行く。すると先程より近いところから二度目の雷音が鳴り響き、しかも一瞬目が眩むほどの光が扉から注した。私は相方の安否が気になり外へ静かに出るとそこにあったのは相方の焼け焦げた姿と相方の腹に槍を刺している何者かの姿。それはまるで"雷神"を彷彿とさせるほどインパクトがあった。槍を抜くと焼け焦げた相方は膝から崩れ落ちた。一目見ただけで理解できた、彼は死んだ、と。私は後退りをしたが、恐怖に刈られ、ジュレットのほうへ向かった。雲一つ無い満月の夜に私は走り、気付けば朝だった。
マーレロ「…ワタシはただの殺人鬼ではないことを知ってほしい。これは運命なんですよ。見た以上、あなたはここで死ぬ…法に裁かれるのです。」
私は絶望し膝から崩れ落ちる。しかし私は最期の力を振り絞って立ち上がり仇を討とうと突進する。しかし彼は慈悲の無い一撃を喰らわした。
マーレロ「『仲呂・神貫』!」
彼は雷を人指し指に覆い弾丸のようなスピードで私の肩に打ち付けた。その瞬間、巨大な爆音と共に彼の雷で感電し、一瞬にして焼け焦げてしまう。私はもう一度膝から崩れ落ちる。その瞬間私は理解した。奴は正真正銘"雷神"なのだと。死に際に聞いた彼の言葉は私の脳内に辛うじて伝わった。
マーレロ「大丈夫ですよ、貴方達の魂はいつか必ず甦らせます。その時まで貴方達は安心して眠っていて下さい。」