?「…もしもし?あらヘヴン?…そう。わかったわ。すぐに終わらすね。」
通信機を切り違う人に変え、また通信期に話し掛ける。
?「社長室に呼んできてくれるかしら。」
高級そうなイスに座りながら通信機で話している女性、リーラアは香水会社『ラル・パルファム』の社長。
?「失礼します。社長」
リーラア「…お入りになって、レミー」
レミー「……何の用でございましょうか」
リーラア「もうわかってるはずよね?」
リーラアは爪を整えながらレミーを見ず、躊躇なく呟く。
リーラア「貴女には、あの赤髪の冒険者…ギルだっけ?あの子を殺した容疑がかかっているの」
レミー「…ち、違います!」
リーラア「…なるほど、それが答えね?」
すこし考えたあと、口を開く。
リーラア「ええ、もちろん知ってる、貴女がやってないことぐらいね」
レミーは驚きの表情したあと、すこしばかり唇が綻びる。急に緊張が解けたのか、肩の力が無くなる。
リーラア「信じてあげる代わりに…私を信じてほしい。裁判にも心証人として出ることにする。」
レミー「あ、ありがとうございます!リーラア様!…リーラア様に一生ついていきます!」
リーラアは計画通りに進み、満足気な笑みを浮かべる。レミーはその笑みを優しさと勘違いし、同じく笑みを浮かべる。リーラアは立ち上がり、社長室から出ていく、レミーはなにも言うことができず、棒立ちしていた。いや、棒立ちしかできなかったのだ。レミーの足元には数体の不気味な輝きを放つ小人が舞をしながら囲う。
リーラア「チルドレン・サークル『硬直封印の陣』」
リーラアは社長室から出ていくと、廊下を突っ切り、魔力石式の監視カメラの電源を切り別室へ。ボイスレコーダーを手に取り、自分の声を録音する。
リーラア「…もちろん社長を殺すつもりでいるわ。私"たち"の共犯がバレたら大変でしょう?社長はゼッタイに信用しちゃダメよ」
リーラアは録音を終え声音を編集し、レミーと全く同じ声に変える。ボイスレコーダーを懐にいれそしてまたも廊下を出て、魔力石式の監視カメラの電源をいれる。そして社長室のイスに座る。
小人達が囲うのをやめると、すぐさまレミーは硬直状態から解放される。
レミー「…あ、あれ。なんか違和感が…」
リーラア「…どうしたの?」
レミー「い、いえ。なんでもありません。」
リーラア「…あら、そう?あ、そうだ。すこしお手伝いして下さらない?」
レミー「な、なんでしょうか」
リーラア「…廊下の先にある部屋に行って書類を取ってきてちょうだい」
レミー「は、はい」
リーラアはレミーが社長室から出るのを確認すると全て思い通りにいったことがよほど嬉しかったのか、ニヤリと邪悪に口が綻びる。