?「まだ御主にはこの技は速いのお」
桜が舞うカミハルムイにて、エルフの和服を着た武士が弟子と思われる和服のプクリポに語る。
?「やはり速いでしょうか…夜叉月様」
?「偽名ではなく本名で呼びなさい」
?「…わかりました。フォルアス様」
フォルアス「宜しい」
プクリポはよほどこのエルフを慕っているのか、膝を地面につける姿勢を已然やめようとしない。
彼等はその後王都カミハルムイに向かい、酒場へ足を運ぶ。酒場の中にはフォルアスの同僚と思われる武士が多くおり、酒場内に入った途端に多くの声がフォルアスに届く。
「お疲れ様~!」
「今日も弟子と一緒か」
「よっ、天下一!」
フォルアス「弟子のパイルだ。我が弟子の中で最も優秀なものじゃ。」
パイル「い、いえいえ」
プクリポはフォルアスに深くお辞儀をし、フォルアスの隣に座る。
いつも通り食事を終え、宿に泊まる。しかし今日はなぜかフォルアス様は寝るのが遅かった。
パイル「どうされたのですか?」
フォルアス「…まだ寝てなかったのか」
パイル「心配でして」
フォルアス「……安心せい。ワシもすぐ眠る。先に夢の世界に行っておいで」
パイル「…左様でございますか。それではお先に眠らせて頂きます」
パイルは布団の中に潜り、目を瞑る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
目を開くと視界には宿の天井。立ち上がり辺りを見渡す。フォルアス様が居なかった。数秒その場に凍りついた。外に全力疾走し、街も見渡す。しかし今日は冒険者と観光客の数が多かった。今日は"ある帝"のスピーチがあるらしい。
一度部屋に戻り、荷物をまとめているとテーブルの上に手紙があるのがわかった。私は封を開け、フォルアス様直筆の手紙を読む。
「◆/◆◆ 此処王都カミハルムイは私の生まれ育った街です。私は此処で君達に出逢えて誇りに思う。突然ながら私は旅へ出る。私の大切かつ優秀な弟子一人一人に最後と思われる手紙を送る。パイル君、君は私が思うに、最も優秀な弟子だった。それは実力面だけでなく、心もだ。パイル君は仲間想いです。ある日君は私にこういった。『私の本当の幸せは他人の幸せ』だと。数々の体験をして漸く手に入る考えの境地を貴方は見ようとしています。焦らなくていいのです。一歩一歩確実にその境地を目指してください」
私は全文読むと数分間唖然として硬直していた。
『余談』
夜叉月 羅生門葛ことフォルアス・レイタンはリアルの俺の恩師がモチーフです。国語の先生であり、褒めることを得意とした素晴らしい教員です。手紙の内容は俺にくれた手紙を参考にしました。
『本当の幸せは他人の幸せ』という言葉は俺が作文で提示したものです。この言葉で恩師である先生と出会えました。このssにバトルシーン?がないのは先生はそのようなことは教え子の前ではしないところを参考に。
邪魂転生総会の幹部は実はリアルで俺を構築した様々な人々や出来事に基づいています。