ドワチャッカ通信新聞社。その名の通りドワチャッカ大陸を中心とする新聞を作る会社である。
しかしドワチャッカ通信新聞社にはある噂があった。それは、とある組織と裏で繋がっているのではないか。その組織というのが…邪魂転生総会だ。
邪魂転生総会…よくある都市伝説的なものである。犯罪者を暗殺する組織であるがそんなもの噂に過ぎない。確かに近年、犯罪を犯したものの行方不明が多発している。しかしそんなものはこれに関係ない。
しかしやはりドワチャッカ通信新聞社はなにかおかしい。
この前の新聞の見出しだってそうだ。
『ファティアス死亡 犯人の最有力は身内の女性三人!?』(弐話参照)
しかし事件があった日、かなりの客が居たはずだ。しかも殺す動機などない。
彼がクズ男であるという話は全然聞かない。これは明らかに事実を抹消している可能性がある、さらに他にもおかしい点がある。
『香水会社社長リーラア・へッディンに殺人予告 被告人は語る』(参話参照)
この新聞も裁判も有り得ないくらいおかしい。まず第一に社長と被告人の時間の変化、そして監視カメラが数分止まっていること。しかし今、被告人は有罪を受ける寸前…明らかにおかしい。
なのに世間は誰も気付いていない。寧ろ信じてしまっている。情報に操られているのだ。
ワタシは探偵としてドワチャッカ通信新聞の本社に行く。レンガ作りの本社でありかなり綺麗に整備されていた。ワタシは中に進むと受付嬢と思われしドワーフの女性が話し掛ける。
「探偵のヴェリタ様でございますね、彼方に責任者がございます。」
ドワーフの女性が奥のドアを指差す。ワタシはトントン、とノックをする。すると中から声がする。
?「どうぞ」
ヴェリタ「失礼」
ワタシは中に入るとなんと中に居たのはオーガの女性であった。ワタシはてっきりドワーフだけ働いていると思っていたので度肝抜かれた。オーガの女性は高級そうなソファーに座りながら、手前のソファーに座るように手招きする。ワタシが座ると彼女は口を開く。
?「私はヘヴン・ネークトリアです。弊社の責任者を勤めています。何卒よろしくお願いいたします。」
ヴェリタ「此方こそ…それでまず御聞きしたいことが……まあ噂ですが、邪魂転生総会との繋がりがある、と聞いたのですが本当ですかね?」
すこしかんがえたあと、どうやって伝えればいいかわからず、噂のことを口にする。ヘヴンさんは礼儀の良い笑いをし、此方を見つめる。
ヘヴン「そのような噂を…」
ヴェリタ「や、やはり馬鹿馬鹿しいですよね」
ワタシはすこし苦笑いをする。そして勇気を出し、口を開く。
ヴェリタ「…それで本題に入ります…実はですね、貴殿方の会社に疑問がありまして、恐縮ではございますが……デマ流しておりませんか?」
その言葉を聞いた途端、彼女の顔から笑顔が消える。
ヴェリタ「…ワタシは貴殿方を訴えようとしています。ファティアスの件や香水会社…有り得ないほどおかしいじゃないですか。」
彼女は目を閉じる、しばらくして目を開けると言葉を放つ。その声は明らかに先程の優しそうな声とは違う。
ヘヴン「…邪魂転生総会…信じます?」
ヴェリタ「…なんです?話を逸らそうと…」
ヘヴン「…答えなさい」
ヴェリタ「……居ないです」
彼女はしばらくしてから口を開く。
ヘヴン「不正解」
ワタシはいきなり腹に激痛が走る。いきなりのことであり、対応ができず、床に崩れる。彼女のほうを苦しめながら見ると、先程の笑顔だった。腹のほうをみると、なにやら貫通しているようだった。傷を見る辺り刃物で切り刻まれながら貫通されたのだろう。ワタシは目の前が暗くなって行く。