厳しい口調で言ったフッデン様だったが、数秒もすると今まで見たことないような顔を見せた。まるで女神のように明るい顔だった。
背中を押され、振り向くとそこにはリタがいた。
リタ「大丈夫だよっ!だって私達は強いよ?」
リタの言葉はいつも明るく、勇気が湧いてくる。リタがもう一度背中を押すと、シエルは一歩を歩みだす。ハーバートが投げ捨てられた大窓から、雲を見下ろす。黒の雲に覆われていたが、雨は降っていない。
マシンボードに乗り、顔をしかめながら雲へ突撃する。マシンボードに体重が乗っかると、すぐに体制を持ちこたえ、バランス感覚が優れていたため、自由自在に空中を飛べた。
すると飛空艇から想像もつかないような爆音と爆風が出てくる。振り向こうとするが、爆風に邪魔され、雲を突破してしまう。
先程の雨とは打ってかわって、地上は青空だった。ゆっくりマシンボードを旋回させながら地上へ再び降りていく。
これが彼の冒険の始まりだった。
【リング・オブ・フェイト】
~プロローグ~