…とある日、ミントは一冊の本を見つけた。
表紙には題名も著者も記されていない。
ひどくすすけた本だ。
ミ『んー。疲れた…ふぁぁふぁ…眠い…』
ス『お嬢様が読書なんて珍しいですね。
どんな内容なんですか?』…とストロベリーが聞く。
ミ『んー。よくある童話よ。特に変わったとこはない
けど…私の知ってる物語とは少し違うみたいで…
夢中になっちゃった。』
ス『へー。おもしろそうですね。読み終わったら私に
も読ませて下さいね。』
ミ『うん。いいよ…でも、ちょっと休憩…なんだか
…すっごく眠いの…』
ス『ふふふ…珍しく読書なんてするからです。
夕飯までお休みになられては?』
ミ『…ぅん…そうするね…おやすみー…』
…………………
……………
………
…
…………………………プツンッ…………………………
?『エラ!いつまで寝てるつもりだい!?
早く朝食を作りなっ!!…たくっ…』
ミ『…ぅん?エラ…?私には可愛い名前が…って
…ん?エラって?誰?私の事?ってか今のは誰…?』
目を覚まして部屋を見回してみる…
ミ『…てかここどこ?私…寝ぼけてる?
んー…夢か…寝よ…』
……………………………。
?『エラ!早くしてっ!今日は明日、開催される
舞踏会に出るための支度に出掛けなきゃいけないん
だから!さっさと朝食の準備してよっ!!』
先程のとは違う声…。夢…じゃないな…。
となるとこれって…
本の中ーーー!!!???
ミ『ふぅむ…この展開は…あれだねっ!
この世界にかけられた呪いか何かを解いてこの世界を
救えってやつだな。きっと…』
時折、ゲーム脳のミントは高い適応力を発揮して
見せる。無駄な長所である。
ミ『…なんだろ…なんか凄いイラつく…』
『はーい。ただいま支度しますぅー。』
先程読んでいた本だろう。ミントは頭の中で情報を
整理する…。画面手前奥にいる体格のいい(オーガ)
女性、家主の奥様のマチルダである。
真ん中にいるのは実子長女(ウェディ)のミジェンダ。
手前にいるのは二女(エルフ)ムダである。
そして、画面手奥にいるのが私。エラ(ミント)。
奴隷として家主である旦那様に買われた。
マ『まったく…女を売るしか能がないくせにお前を
買ったG分位は働きなっ!』
私の値段…30万と2千G…私の命30万G衣服2千G…
それが私の右頬に捺されている。
ミ『そぅよ。その頬の烙印がある以上、あんたは
家の所有物なんだから!起きたなら早く朝食作って
よ。私達は舞踏会の支度しに出掛けるんだからさ♪』
エ『…私も行ってみたいです…舞踏会…』
ミ『え~☆母さん、エラも行ってみたいってさ
舞踏会♪』
マ『いいよ。30万と2千G返済出来たら連れてっても。
もしも、出来たならね。』
ミ『だってさぁ~♪きゃはは☆』
ム『お母さん…ムダは…?』
マ『お前はまだ子供だからね。今日の舞踏会は
王子の結婚相手の選考も兼ねてるって噂さ。
だからごめんね。今日はエラとお留守番だよ。
お利口にしてたらお土産たくさんもってくるから
ね。』
ム『…うん…わかった。ムダ待ってるね…。』
マ『…って事だ。頼んだよ。エラ。留守の間ムダに
何かあったら承知しないよっ!』
朝食を終えると彼女らはいそいそと出掛けた。
それを確認した後、エラも朝食を食べようと部屋
に戻る。
エ『…私は…奴隷…所有物…。
知ってた?人ですらないんだよ…。
どうして私…こんなとこにいるの…?
なんのために…誰のために生きてるの…?
私は…エラ…………っ!?…私の名前は…???』
猫『ごきげんよう。エラ…いや、ミント459回目の
はじめましてかな?』
エ『………はっ???………。
……………はぁぁあぁぁぁあ!!!???
猫がしゃべったーーーー!!!!????』
To be continued…?