ア&イ『思い出して…今一度…力を貸して欲しい!』
エ『もちろんよ!』
ア『…ありがとう。ここで立ち話も人の目についてしまう。…場所を変えよう。』
イ『なら私の屋敷に来なさいよ。人目にもつかないし、お菓子もあるわ!』
ア『…そうしようか…転移術式…展開』
アダムの足元に魔法陣が描かれていく。
ア『…みんな陣の上に集まって。』
各々が集まる。
ア『…起動。』魔法陣から光の輪が上がってくる。光の輪が頭の上まで通りすぎると既に屋敷の前にいた。
エ『私達の使う魔法とは少し違うのね。』
ア『…色々な世界があってそれぞれで発達した魔法がある。共通してるのは、どの世界でも人の強い想いが魔法を生み出す…ということだね…。』
エ『ふーん…素敵ね…。想いの力か…。』
一行は屋敷の客間に集まった。
ア『…早速始めよう。…始めにここは本の世界だ。有名なお伽噺の…。ここは本の内容を繰り返すだけの単純な世界。ある時、城で舞踏会が開かれ継母と義姉はドレスを用意して向かうが、エラにはドレスがなく、そこに不思議な力が集まりエラにドレスを与えるがその魔法は午前零時にとけてしまうからそれまでに戻るようにと警告される。零時の鐘の音に焦ったエラは階段でガラスの靴を落としてしまい、王子は靴を手掛かりにエラを捜す。エラの落とした靴は誰にも合う事なくエラは王子に見出だされ妃として迎えられる。
…はずだった。』
アダムは中空に手をかざす。『…ブック』
アダムの掌に本が現れた。
ア『…これは僕の魔導書アカシック・レコード。これにはあらゆる世界の歴史が記されている。もちろんこの世界の歴史も…。ミント…このページを見て…。』
ミントは本を覗き込む。瞬間、意識が本に引っ張られる感覚がした。
周りではたくさんの男女が踊っている。ここはお城の舞踏会で目の前にいる男女がエラと王子だとわかった。
エ『…チャーミング王子…私、今とても幸せです。この時間が永遠に続いたらいいのに…。』
チ『なんと美しい女性だ…貴女をもっと知りたい。…よければこのまま私と話ながら踊ってくれぬか?』永遠のような一瞬を過ごす二人。鐘の音が響き渡る…エラは焦った。魔法が解けてしまうと…。エラは駆け出す。焦りのあまり階段でつまづいてしまった。涙をこらえ思った。
エ『(…この幸せが永遠に続けばいいのに…!)』
?『…君のその願い…叶えよう。』
怪しい雰囲気に身を包んだ男がそこにいた。
?『さぁ!願いなさい…強く!あなたの本当の想いを!最高の幸せ(フィナーレ)を!僕はファウスト。魔法使い…君の味方だよ…。』
男の言葉はエラにとって救いだった。数々の魔法の助けでここまできたエラには疑う余地などなかった。
男の言葉にすがった。強く願った!
エ『…この幸せが永遠に続きますように!!』
男は何やら光輝く球体をエラの胸元に押し付け、呪文を唱え始めた。球体は輝きを増していき、エラの身体は分解され球体とひとつになっていく。球体が眩く輝いた。
フ『素晴らしい!大成功だ!魔宝具の完成だ!これを『零時迷子』と名付けよう!ふはは…はぁーっはっはっはっ…』笑い声が木霊するなか零時迷子の中で意識だけとなったエラは男に利用されたと気づいた。
エ『(…私…どうなるの?王子は?…今、何が起きてるの!?…お願い!誰か…助けて!!)』
エラの想いは小さな光となって天高く飛んでいった。 To be continued…!!!!