「最近、挨拶がない、実働が不明な方に出しています。この通知に返事がなかった場合、除名候補となることがありますのでご理解ください」
という内容を手紙を、俺は長期不在者っぽい方に出している。
こんな不愉快極まりない内容の手紙を「っぽい」という、フザケンナと言いたくなるくらいにあやふやにもほどがある理由で出しているのにはワケがある。
同じ時間帯にインする方、Ptを組む方、よくチャットをする方などは完全とはいかないまでも実働がわかるが、それ以外の多数のチムメンたち全員の実働かどうかを、確実に把握する方法がないからだ。
ご存じのようにドラクエⅩには「最終ログイン日」の表示がない。
なので、実働の確認は以下となる。
①挨拶の有無(一番簡単な確認方法)
②チャットの有無(単なる挨拶よりも記憶に残りやすい)
③表示レベル(現状でLV96表示は実働の可能性高い)
が、これにはそれぞれ大きな穴がある。
「挨拶の有無」は、俺がインする21時~24時のプレイヤーしかわからない。さらに言えば、インしたとして同じ時間帯のチムメンたち全員を100%覚えているなんてのは不可能である。
その取りこぼしを少しでも減らすべく、意識に残りやすいように俺は「〇〇さんばわ~」と名前入りで手打ちしている。
「チャットの有無」は、挨拶以上に不確実だ。インアウトの挨拶のみであとはプレイに集中するというのも当然あるし、プレイベ参加や強敵の戦いのためチムチャをOFFてのもある。
かといって「実働かわからんからチャットしろや」なんてのは横暴以外の何物でもない。そんなことを言うリーダーのチームだったら、まず俺自身が抜けている。
「表示レベル」はさらに厄介だ。「LV96だと実働の可能性高い」と言ったが、俺自身まだLV93の職がある。また、サポート登録をする際、カンストしてない職で登録するのは当然なことだ。こちらもあくまで目安でしかない。
それでも、だ。
引退者の除名と新規加入者の参入を行い、チームの新陳代謝を行わないと「過疎化」という事態に陥るため、リーダーとしては避けては通れない業務である。
とはいえ、俺とて感情を持った人間なワケで、通知を送る際は、前述の吟味をした上で「この人挨拶あった気がするなぁ」「以前、一緒に遊んだよなー」「こんな手紙送って怒ってこないだろうか」「古株のチムメンにこんなことしていいのか?」などと、苦悩しながら決定ボタンを押している。
事実、「そんな人とは思わなかった」「ヒドイ人ですね」という返事をもらったこともある。
自身が「せっかくのオンラインだしワイワイやりたい」と望んで至った現状だ。後悔はない。
しかし「すべてはチームとチムメンのため」という大義を掲げて割り切っているが、自分でも「不愉快」と分かり切ってる手紙の返事とはいえ、なかなか心に来るものがある。
チムメンの中には俺との面接において「礼儀とマナーに関してはシビアに判断しています」と、言われた方もいるだろう。
それは、こういったかつてのチムメンたちの犠牲の果てに、現チームの穏やかな雰囲気と活気が成り立っているワケで、その空気を損なう者に対しては一切の容赦をしないという意思の表れである。
不適切な発言をした際にフレチャで注意しているのも同じ理由だ。
第一、チムチャで大々的に言ってはその方の居場所を奪うことになる。個別のフレチャで注意をするのは、改善を期待しているからだ。
そうでない方に対しては「お互いのため、ここまでにしましょう」とだけ告げている。
綺麗ごとだけで済まないのは、オンラインという特性上、リアルの人間が関わってくるため、現実と同様なのだ。
俺の肩書「腹黒親分」は、そんな自身を自覚するため、戒めるため、リーダーとなった日からつけ続けている称号だ。
ちなみに、レグを倒して称号を得た後、「今じゃもう常闇の親分だな・・・w」と、自嘲できる程度には、この日々を楽しめている。
今では、戦闘で魅了されたチムメンの総攻撃やら、コロシアムでここぞとばかりに襲い掛かってくるチムメンたちに向けて「除名してやるぅぅw」と叫べるくらいには開き直っている。
後日、除名を叫ばれたチムメンの日誌に「次の日にまだ籍があって安心したw」という記述を見て笑ってたりもする。
結構なことだ。
ただ、スリダガで寝ている俺の足元にご丁寧に爆弾×3つも置くのはチョット勘弁してくださいw
あの時は、死が確約された「エレ」を冷静に眺めつつ、ヌルい茶をすするという貴重な経験をしてしまったぞ?
ま、今こうして楽しめているのも、かつてのチムメンたちあってだろう。
ゲームとは娯楽である。
娯楽ならば、楽しまなければ。
そうでないと、俺が除名していったチムメンたちに失礼だろう。