皐月が202号室から帰ってきた。
「おかえり、どうだった?」
河南は聞いた。
「引き受けるみたいです。ただ相変わらず本を読んでてキリのいいとこまで待ってろと。」
「あ、そう。三神さんすみませんねこんなにお時間取らせて。」
三神は髪をいじりながら
「いえ、どうせ家に居ても暇なので。」
と言った。
数分後
優香が来た。
「こんにちは。さっちゃんから聞きました掃除のバイトがあると。あ、あなたが三神さんですか?バイトをする小野寺優香と言います。お願いします」
と一気に話した。
三神は少々驚きながら
「あ、お願いします。」
と返事をした。さっちゃんって誰だろう・・・三神は気になてた。
「バイトは明日の午前9;00からだからね。優香ちゃん寝坊しないでよ?」
「大丈夫ですよ。河南さんさっちゃんが起こしに来てくれますから。」
「え、ちょと待て優香なんで僕が起こしに行くんだ」
「だってわたしの部屋時計ないもんね。朝か昼か夜かで動くのよ私の体は」
「時計ぐらい買えよ・・・第一ミステリの本とステレオと傘と服とテレビとゲームとゴミ箱くらいしかないのがおかしいんだよ。」
「洗濯機ありますよ?それに筆記用具に・・・・」
彼女は指を折りながら言ってった。
「とりあえず、明日の9:00だから皐月君が起こすなり優香ちゃんが自力で起きるなりして行くんだよ。」
川南はそう言い三神を連れて皐月の部屋から出ていった。
「ねぇねぇ、河南さんってへんな人だよね」
「え?そう?僕は普通だと。」
「いやいやだって探偵なのに私たちに仕事やらせて報酬もほとんどくれるじゃん。あの人どうやって生計たててるのか気にならない?」
「蓄えでもあるんじゃないの?」
「えーそうかなぁ」
「まぁ明日一応起こすけど怒らないでよ」
「うーん、覚えてたらね」
「・・・・」
彼女はそういい部屋から出ていった。
翌日九時 三神の家の前に軍手をした皐月と眠そうな顔の優香が来た。
「おはようございまぁふぁす。」
「おい、優香起きろよ・・・寝ぼけるんじゃないよ。」
「あ、えーととりあえず中へどうぞ。外じゃ暑いでしょうし。」
彼らは三神の家へと入った。
掃除する部屋は想像以上に酷かった。食べかけの食品にカビの生えたパーカー謎の液体が入ったペットボトル・・・
「うちの娘荒れてて・・・」
「うわ、なにこれ。ねぇ、さっちゃんこれどこから手を付けるの?」
「えーっと・・・・僕もここまで酷いのはテレビでしか見たことないから・・・」
二人はとりあえずマスクと軍手など防具をつけた。
「まずは、僕はゴミを集めるから優香はそこらに散らばってる本とか整理してて。そういう本の整理得意だろ?」
「あ、うん。コホコホッ。空気最悪・・マスクしてるのに咳がせるよ。」
そこからは無言でせっせとゴミを捨てていった。
皐月はちらりと優香を見た。優香は本を持って何やらページをめくているようだ。
「おいおい、整理は?」
「さっちゃんこれ見てよ。」
と彼女は言いその本を見せた。
「何だよ?」
「これドロシーの小説だよ。欲しかったんだァ。」
と彼女はまたページを開いた。
「そんなに欲しかったら三神さんに聞いたら?」
「おお、その手があったか。さっちゃんナイスアイデア。」
「とにかく片付けてよね。」
「はーい」
数時間後部屋からゴミというゴミがなくなり、新鮮な空気の通る空間となった。
「すごい・・・・ありがとうございます。あ、これ」
三神は封筒を皐月に渡した。
「依頼額の1万6千円です。」
「ああ、ありがとうございます。あの三神さん?少し頼みがあるんですが」
「なんですか?」
皐月はその場で本を読んでいる優香を指さしながら
「あの人が本を欲しがってまして。・・・」
「ああ、ならどうぞ持って行ってください。どうせこの掃除終わったら棄てる予定だったので。」
と三神が言うと
「え、貰えるの?やったー!」
と優香が叫んだ。皐月は
「おい、優香御礼くらい言っとけよ」
「ああ、そうだった、さっちゃんの言うとおりだ。ありがとうございまーす。」
「はぁ・・・」
とため息をついた。
「あの、優香さんずっと疑問だったんだけどさっちゃんって誰のこと?」
「え、皐月のことだよ?彼よく名前から女子だと勘違いされるの。」
「僕の家の名前の付け方が睦月如月の生まれた月のパターンで姉が神奈と弥代生なんです。僕は五月生まれで皐月と言う具合に。」
「へぇ。ずっとさっちゃんって女の子の名前呼んでるのかと思ってたの。」
と三神
「優香がさっちゃんとか言うから・・・・」
「だってサツキって言うと昔の友達思い出すもん。」
「でもなぁ・・・・・」
と二人の言い合いを見ながら三神は
「そろそろ娘が来そうなので・・・」
と二人にカエル用に仕向けた。
続