三神の家から二人は帰った。帰るには電車を使わなければならない。彼らは駅へと向かった。
「ねぇ、またあのあっつい電車乗ってあっつい部屋に戻るの?」
優香が暑い日差しに目を細めながら言った。
「しかたないだろ。暑いのが嫌なら扇風機かクーラーか買えよ・・・」
「えー金かかるからやだよ。」
「じゃあ諦めな」
「てか、電車まだなの?もう15分経ったよ」
「田舎だからしかたないだろ・・・」
「もぅ、なんでもしかたないですませないでよ。」
彼らの住んでる遊楽荘は電車が通るので便利なのだが田舎でそこ行きへの電車の便が非常に少ないのだ。
「さっちゃん時刻表見てきてよ。もぅ私動けない暑い死ぬ・・・」
「はいはい」
皐月は壁に貼ってあった時刻表へと歩んだ。
「後26分だね」
「えぇ!?うっそぉそんなに待ってたら死んじゃうよぉ」
と大きな声を上げる優香 死にそうなくせによく叫べるなと皐月は思った。
「もぅ強硬手段だけど命に関わるからあの手使うかぁ」
と優香が苦しそうに言った。
「は?強硬手段?」
「ふふふ、茜家に行くのだ!」
「え、茜家って瑠奈さんの家?」
「そうだよ」
彼らの言う茜瑠奈(アカネ ルナ)とは超金持ち一家の茜家の令嬢である。
「瑠奈さんの屋敷なら次来る電車ですぐでしょ。」
「知らないよ。僕行ったことないから。」
「あれ、無かったっけ?」
「優香一人で行ってるだろ毎回」
「暑すぎて記憶があやふやだよぉ」
皐月は時刻表を見ながら
「どこなの屋敷は?」
とベンチで死にかけている優香に聞いた。
「えーっと・・・G市の10-Vhだから」
「なら次の電車で行けるよ。」
「おお!やったー」
優香が飛ぶ なんで死にかけなのに飛ぶんだよ と皐月は思った。
「と言うか勝手に行って言い訳?」
「大丈夫でしょ」
「心配だな・・・優香電話したら?」
「持ってくるの忘れたァ」
と彼女は元気よく答える。いつのまにか彼女は活気が戻っていた。
数分後まもなくG市行きが到着します。と女性の声のアナウンスがした。
続