強大だった。あまりにも荒唐無稽すぎる展開に、脳が理解することを拒否した。一体何が起きたのか……?
時は遡り、某日。その日は、私がアストルティア大陸に、約2年の歳月を経て再誕した日であった。
不安と期待で胸が張り裂けそうな私を待っていたのは、あいも変わらずログインしているフレンドやチームメンバーたち。
予想を超える暖かい歓迎に、思わず涙腺が緩みかけたのは、ここだけの秘密である。
澄み切った大空に、落ち着いた雰囲気の山々に囲まれて、耳を澄ませば川のせせらぎが聞こえてくる。
独りでぽつんと砂利道に立っていた私は、久しぶりの感覚に多少戸惑いながらも、昔を思い出すかのように、嬉々としてキャラクターを操作していた。
エルトナ大陸住宅街。現在では、ほとんどをラッカランで過ごすようになってしまったが、のどかな風景を堪能しに、今でもたまに顔を出す。
アストルティアに帰還した直後にこの景色に包まれて、ああ、これがドラクエだなあと感慨深かったのは、記憶に新しい。
そんな風に全身でドラクエを堪能していた私を、いきなりの衝撃が襲う。
「アストルティア学園っていうのがあるんだけど、行ってみない?」
What’s that? Are you alright?
いや本当に。血迷ったのかドラクエ10?さっきまでの感傷を返してくれ。
とはいえだ。もしかしたら、学園なのにドラゴンクエストやっちゃってるのかもしれない。物は試しだと、グランゼドーラに向かった。
上気する頬。強調される胸元。謎アップのミラン君。
うん、ギャルゲー&乙女ゲーやんけ。
開錠せよ!じゃないんすよ。むしろそのはちきれんばかりの胸元を開錠したい……って違うわ!
What’s happned!? I cannot accept this!!
私の目の前には、ドラゴンクエストという名を騙った、戦闘システムがドラクエなだけなギャルゲーがそこにあった。
「僕の一推しキャラはラピスちゃんでぇす!」
りっきー……。
そして、私は不登校になった。
時は巻き戻り、現在。長年のひきk……ではなく、封印の呪縛を解くべく、私は奔走していた。
そして、とあるエルおじから、とっておきの情報を手にする。
「学園をクリアすると、アンク81個分になるよ」
久々に復帰したり、ちょくちょく休止を繰り返していたりする人には、あるあるではないだろうか?
アクセや装備にレベルなどは、頑張れば追いつける。
でも、アンクだけは全然完成しない……。セトのアンク合成51回で332……おえ。
そこに、救いの如き現れたアンク81個分を謳うアストルティア学園。
いつ卒業するのか? 今でしょ(古い)