みさきは激怒した。
必ず、かのフレンドに、ナブレット団長がいかにスーパースターの鑑であるかを知らしめねばならぬと決意した。
みさきはオルフェアの村に住むプクリポの青年である。みさきは争いを好まぬ。笑いと夢を愛し、花と戯れ生きてきた。
しかし、ナブレット団長愛に対しては、強火担と言っても過言ではなかった。みさきはナブレット団長を推しに推しまくるナブラーであった。
ある日、みさきはフレンドに聞いた。
「ナブレット団長って、ドラクエの職業に当てはめたら何やと思う?」
フレンドは答えた。
「せやな、普通に旅芸人ちゃう?」
………ん?旅芸?うん?旅芸?今ナブレット団長の話しちゃうかった??えっ?旅芸?
不意打ちをくらうとはこの事である。
そしてみさきは激怒した。
なんっっっっっでナブレット団長が旅芸人なん!?サーカス=旅芸人か?いやいや…、いやいやいや、確かにナブレット団長かて自分をスーパースターなんて言わんやろうけど、それでもスパスタ一択ちゃう!?
ナブレット団長ほどスーパースターに相応しいキャラはおらんのやで!?相応しいっていうか、あの人がスーパースターそのものなんやで!?
ナブレット団長は旅芸人とかサーカス団団長の皮を被ったスーパースターなんやで!!!!!
みさきは昔、プクリポでスーパースターの職を極める事を夢見ていた。しかしその夢はあっという間に覆えされた。プクリポでスーパースターなど、ナブレット団長に敵う訳がないと気づいたからである。
それはレベルや耐性など、そんな数字の話しではない。ナブレット団長の持つスーパースターとしての器の話しである。
ケーキ屋からサーカス団の団長を務めあげる要領の良さに加え、器用さと身体能力、町長をしているとはいえ国王代理を任された信頼の厚さと民を牽引するカリスマ性、亡き妹の予言の真意を理解した視野の広さと俯瞰の高さ、洗練されて俗のない身のこなし、粋でいなせなべらんめぇ口調。声帯も古川登志夫である。
一体誰が敵うと言うのであろうか。何をとってもパーフェクト、彼こそがスーパースターである。
きっとナブレット団長のミリオンスマイルは、振りまくとか浴びせるとか、そんな生易しいものではなく、相手を撃ち抜く力がある。
敵を100%魅了させ、仲間になりたそうにこちらを見ていると言わせる効果もあるに違いない。みんなナブレット団長を好きになる。
ナブレット団長は天下一のスーパースターである。いつか彼のミリオンスマイルに全身を撃ち抜かれたいものである。
以上の言葉を飲み込み、みさきはフレンドに、「スターコート着てるからスパスタなんちゃうかな?知らんけど」とだけ言っておいた。
みさきはバージョン4.0までしか知らぬので、そこから先のナブレット団長は分からぬ。
もしかすると、もっとえげつないスマイルを持っているかも知れぬが、不明である。噂ではどうやらカッコイイという事は聞くが、当然である。彼は名実ともにNo.1のスーパースターなのだから。
バージョン1・2をボイス付きのオフラインでクリアしたみさきは、未だにナブレット団長からの魅了に取り憑かれたままなのであった。
ナブレット団長の庭具や家具が出ますように!!