ミコト「ねぇねぇ、何か倒れてるよ。」
パステルくん「ホントだ。あらくれが倒れてるね。」
ギッショ「うう…旅の人。俺はもうダメだ。最後にコレをお前たちに託したい。
俺の右のポケットの中を確認してくれ……。」
ミコト「お?おっさん、良いね!カンダタみたいにメダルとかGの入ったアイテムくれるのかな?」
パステルくん「ドキドキ!」
ガサゴソ…ガサゴソ…
ぐにゅっ
‥‥‥‥え?
ギッショ「ぎゃーはっはっは騙されたな!!右のポケットには『うまのふん』が
大量に入ってるんだぜ!赤の錬金石だぁ?そんなもんくれてやるわけないだろーが!!」
手に握りしめた『うまのふん』は、異様な臭いを醸し出している…。
ミコト「……………。」
パステルくん「ウっ…ウっウっ…」
ミコト「……パステルくん、そういえばさっきあっちで黒い大きな竜が遊び相手欲しそうに構えていたよね。」
パステルくん「……うん。面倒だったから無視してたけど。」
ミコト「あぁ…ココに肉付きの良いおっさんが倒れてるよ?」
パステルくん「……そうだね。」
ギッショ「ひーっひっひ…腹いてぇ………。あ…?お前ら何か言ったか?」
ミコト「どうやら動けないのは本当みたいだね。でも、笑いすぎて動けないなんてふざけた話だ…。」
パステルくん「コノウラミハラサデオクベキカ……!!」
ギッショ「あー、面白かった。俺はこのまま寝てるぜ。次の冒険者が来るのを待つとしよう。てめぇら、もういいからさっさと行けやぁ!!」
―――ミコトとパステルくんは、腹を抱えて寝転ぶギッショを後にした。
ミコトとパステルくんは、ギッショと出会う前に
先に出会い、待ち構えていた深淵の海王竜のところまで戻った。
ミコト「やぁやぁ、トカゲくん。さっきは無視してすまないねぇ。」
深淵の海王竜「ギョエエエエエエエエ!」
パステルくん「君、お腹すいてない?良いご飯があるんだ。着いてくるかい?」
深淵の海王竜「ギョエ?ギョエギョエ!ギョエ~」
どうやら、長いこといにしえのゼルメアで一人でいた深淵の海王竜は
相手をしてくれた私たちの事を気に入ったらしい。
ミコト「良い子だね!」
パステルくん「美味しいご飯が待ってるからね!!」
―――こうして、荒くれ者ギッショは深淵の海王竜と戦うことになり
本当に瀕死の重体で寝転ぶようになりました。
それが、次の冒険者、そう「あなた」との出会いだったのです。
~ 糸冬 ~