オーブ工の朝は早い。まずはウォーミングアップとしてのイッドから
はじまる。仕事着の羽衣を身にまとったら自ずと戦闘モードに切り替わる。
蜘蛛、姉妹と与しやすいところから片づけていき、暴君でいなずまを
避けられもしないツメに業を煮やしたあたりで、今度は自分が冥獣を
装備し、「ヒャッハー!汚物は消毒だ〜!」といわんばかりの勢いで
天魔を一掃する。旧が終わったら次は新ボスである。
アストルティア十指には入ると思われる重装備まほよろ、これぞ本職と
定めた魔法戦士に転職してからが本領発揮である。眠った水竜を隔離
する様はさながらパラディン、猫もプスゴンも自慢の重さで完封である。
タゲをいち早く見極め、鉄壁の壁スイッチング。随所に匠の技が光る。
魔戦を満喫した後、ホーリーに着替え再び僧侶で向かうはウルベア魔神兵。
職人としての矜持に裏打ちされた一着、着たきりはごろも勢とはこのへんで
まさに一線を画しているといっていいだろう。回転斬りをくらって
バタバタ倒れるツメをものともせずサクッと勝利。ついでだから
ザイガスまで行き、一日がかりの仕事で得られるのは道中のキラキラ、
小銭や宝石のドロップとあわせて十万弱といったところだろうか。
対してガチ職人は時給十万。悲しいかいって?いやあ全然。
「お金の問題じゃあないんです。常に戦いの場に身を置いて、
心をひりつかせていることが大事なんですよ」と語る熟練のオーブ工、
カルドセクシさんの目は焦点が定まらないながらも、なにやら
根拠のない自信に満ちあふれていた。