オーブ工だけじゃやっていけないので、さいほうのライン工として糊口をしのいでいる私だが、
作ったそばから売れていくはやて・みかわしは、履歴で見てみると買っていくのはほとんどが
業者だ。にちりんのこんにマスター装備で脳死リューイーソー狩りしてたのも今や昔。
最近の業者は自分で練金して結晶にする、という知恵をつけたのである。
一番のお得意様が業者様。RMTを肯定するわけでは毛頭ないが、良くも悪くも業者が
アストルティア経済を回す一員であることを実感する。それを認めないことには、
彼らにユニクロを売りさばいている私の立ち位置まで揺らいでしまう。
業者については以前誰かが言っていたが、
「あんなの道端に落ちてる、犬のウンコぐらいに思えばいいんじゃないの?」
これは至言だと思う。そそくさと見て見ぬふりして通り過ぎればいいし、
どうしても我慢ならなければ掃除(=通報)すればいい。そして明日も明後日も、
至るところに犬のウンコは落ちている。そういうものである。
「狩り場はどこも業者でいっぱいだ、運営は何をやっているんだ」という声は
引きも切らないが、ドラクエ10がオンラインゲームであり、その芯となるゲーム性が
「経済」である以上、どんなに有能な運営であろうと排斥するのは土台無理な話である。
今さら、敵を倒せば倒しただけゴールドが儲かるという古式ゆかしきドラクエの
ゲームデザインに作りかえたところで、それは業者のさらなる流入を招くだけである。
オフラインという箱庭で完結し、牧歌的であった今までのドラクエとはちがう。
闇にうごめく、得体のしれない者たちも(まことに遺憾ながら)また、
この世界を構成する要素なのだ。清濁併せ呑み、いかにこの現実を見据えられるか。
若干話は変わって……。
カジノは、コンテンツの幅をひろげるにとどまらない意味合いがある。
これは今までのドラクエと決定的にちがう点なのだが——要はインフレ抑止策なのだ。
サービス開始から今までに運営が吐き出したゴールドは莫大な額になる。
それをユーザーから吸い上げて、回収にかからないとアストルティアはとんでもない
大恐慌に見舞われてしまう。それをまず理解しておかなければはじまらない。
カジノは「勝てない」のだ。より正確にいえば、大金をつぎこんで得られる景品に、
いかにそれ以上の価値を見出せるか、なのだ。しんぴのカードなら一枚あたり
6万ゴールド相当だが、これを町の道具屋などで売ったとしても味も素っ気もない。
そこでカジノという「演出」を加える。実像に近い言い方をするならば、だ。
その大前提を理解することもなく、「もっと緩和して、勝ちやすくしてください」
などと要望するのはお門違いもいいところで……。ドラクエ生活に支障をきたすほど、
負けが込むならば犬のウンコ同様、近寄らぬが吉、なのである。
時代の要請ともいえる誕生を果たしたドラクエ10は、そのはしばしで、
妙に生々しい現実を突きつけてくる。それは見て見ぬふりをしていただけで、
実際には常に我々のそばに、横たわっていたかもしれないものだ。
両の目をはっきりと見開けるか? そんなことを問いかけているようでもある。