今さら隠し立てすることでもないので、ここに明記しておくと「カルドセクシ」という
キャラクターの中の人は、ドラクエを1からリアルタイムでプレイしてることだけが
心の拠り所の、しがない四十路のオッサンである。女性キャラを使う理由は、
姫プレイしてちやほやされたいわけではなく、単に見目麗しいキャラを使いたい、
というだけのことである(5〜8は選択の自由がなかったが、9でも女性キャラだった)。
だから、ネカマ扱いされるのは心外といえば心外なのだが……まあ自分がそんなんだから、
ゲーム内で接する他の女性キャラにも鼻の下をのばしたり、下心をもって近づくことはない。
ツイッターに注力していた頃は、これでモテたい、という気持ちが多少なりともあったが、
子どもの頃の遊び場、そのまんまの感覚であるドラクエにおいては下心など皆無である。
どうせ中の人がどんなんだかわかったもんじゃないし、男か女かなんて見かけだけの話、
ホレタハレタもありゃしねえ、というスタンスの私からすれば遠い世界の話のようにも
思えるのだが、世間にはカップルでドラクエを楽しんでいる人たちもいる。
ちょっと仲良くなったからといって、女性のほうにすり寄って、
「あんなヤツより俺のほうがいいよ?」なんてことは言わない。言えるわけない。
社会的には最底辺の、金も職もなく色気も枯れ果てたオッサンがまかり間違っても。
しかし仲を勘ぐられたのかなんだかわからないが、男のほうに絶縁され、
そいつが女性にも「あいつとフレを切れ」と迫るケースが一度や二度ならずあった。
縁あって、野良で何度か組んだとあるチームのリーダーに、強アタッカーが少ない
チーム事情もあって、さかんに勧誘された時期があった。その頃は私もまだ、
強ツメで通っていたのである。浪人中の私といえばチームを抜けたばかりで、
やや揉めた経緯もあって、新しくチームに加わることには慎重になっていた。
しかし三顧の礼をつくされては観念するしかない。そのリーダーには、
チームのマスコット的存在の、詮索したことはないがおそらくはリアル彼女がいた。
仮にマス子としよう。私はリーダーよりも、むしろマス子と気が合った。
もちろん、だからといって妙な色気を出すこともない。自分では分け隔てなく、
接していたつもりであった。そんなこんなで時が経過し、事件は勃発した。
(続く)