以前も言及したが、RPGと聞いて我々が漫然とイメージする、
中世が舞台で、経験値を稼いでレベルアップして、悪の大魔王を倒す……
なんてのはどれも後づけ設定みたいなもので、より本質に迫るとすれば、
「あてがわれた役割を演じる」ということである。
広義ではスーパーマリオだって、「マリオという役割を演じる」、
という意味ではRPGだともいえる。アストルティアにおいて我々は、
勇者である以前にアクター(アクトレス)なのだ。
このドラクエ10では、演じるキャラクターの設定が、
かなりの部分ユーザーの自由に委ねられる。
私は女性キャラをつかっているが、いわゆるスイーツ()系女子ではなく、
サバサバした江戸っ子気質の、口数は少ないながら気っ風のいい姐さん、
というキャラを志向している。リアルの私はもっとグズグズした性格だし、
元よりオッサンだし、乖離しているといえばその通りなのだが、
まったくの別人格というわけでもない。それもまた、まぎれもなく
私の中から出てきたものだからだ。
ツイッターに注力してた頃は、性別も年齢も完全に伏せて、
「私」「僕」「俺」などさまざまな一人称を使い分け、
いろんな視点からのポエム()を書き、読み手を煙に巻くことを
楽しんでいた。しかしドラクエでは、自ら課したキャラ設定に
忠実であろうとしている。「オッサン」と呼びかけられたら、
「誰がオッサンじゃ」と返す。それがこの世界との、
調和をはかるすべだと考えるからである。最初からそういうつもりで
いたわけではないが、だんだんと意識が根づいてきたのだ。
個人的な考えでは、女子キャラが「僕」とか「俺」とか言ってはいけない。
それは世界に混乱をもたらす。出会い厨につきまとわれても、
「中の人はオッサンなんじゃ〜!」とキレてはいけない。
あくまでも女子として、のらりくらり、とかわすのである。
極私的な空間であるこの日誌が、内幕ばらしになるのはしょうがないが、
ゲーム内では演じ切らなくてはならない。
リアルからはかけ離れているけれど、まったくの別人格というわけでもない、
という自分。それを演じることが、グズグズした日常から飛躍する第一歩、
足がかりとなるかもしれない。人によっては単なる逃避だというかもしれない。
そこは結局、各々の考え方しだいといえるのではないだろうか。