カルドセクシの冒険日誌

一日中打てるという好条件とあり、数ヶ月の間はずっとプラス収支を計上し、
順調だった。だが悪くない台を打ってるわりに、ある時期を境にパタリと勝てなくなった。
行きつけの、信頼のおけるホールで十三連敗を喫したときなどは、
「遠隔でもされてるのか……」と疑心暗鬼にかられた。会社勤めとの兼業で打ってた頃にも
なかったようなひどい負けが込み、資金が尽き、パチプロ廃業を余儀なくされた。
その後勤めはじめた会社もリストラされ、ずぶずぶと今に至るわけである。
泥舟から飛び降りたかと思いきや、別の泥舟に飛び移ってしまった、という話だ。

なぜここまで、ありえないほど負けたのかという疑問を引きずりつつ、
ドラクエ１０で私はランプ職人という道にたどり着いた。メインのさいほうよりも、
私には向いてるように思える。パチンコに近い考え方でできるからだ。

「ランプなんて運だよ」と吐き捨てるようにいう人たちがいるが、私にはそうは思えない。
生産系職人にくらべてハイリスク・ハイリターンなだけの、試行回数を積み重ねることで
はじめて実を結ぶ、これもまた作業に感じられるからである。ドラクエ１０の職人に
「還元率」が設定されているならば、技術介入（旬の商材を選ぶ・適切な手順etc）を
おこたらない限り、１００％を割るようなものはないように見える。

有り金をはたいて一世一代の練金に挑み、何度かスッカラカンになりながらも、
ランプにさわる以前より明らかに金回りはいい。パチプロ時代の大負けも、
なんとなく納得できるようになった。あれは私だけに降りかかった、
未曾有の悪運ではない。誰にでも起こりうる、確率の偏りである。
要はそれに耐えうる資金力が、私にはなかっただけなのだ。

高額商材をブン回すだけで安泰の富豪職人ならいいが、私のような底辺職人は、
ランプを回すかたわらキラキラ拾いやオーブ工にも精を出さなくてはならない。
安定した収入基盤があって、はじめてランプも回せる。そのへんは過去から
学ばねばならない。どっちが上とか下ではない、金策の両輪である。

運、という言葉ですべてをくくってしまうのはたやすいし、
運がなかったね、と自分に言い聞かせればそれは慰めにもなる。
しかし私は、自らを貫く「理」に依って生きたい。運のせいにはしたくない。
「コイツほど運の悪いヤツもなかかないねーな」と誰からも言われそうな
人生を送ってきた私だからこそなおさら、そう思う。