定められたコースを疾走するだけの、綿花マデュマラソンをしている時などはさすがに考え込む。
「いつまでこんなことをやり続けるんだ……?」
二年半、いや三年も前か、ドラクエがオンラインゲームで発売されると耳にしても、
MMOというものにふれたこともない私は、具体的なイメージがまるで浮かばなかった。
ドラクエだから、ということではじめた。そのためだけにwiiも買った。
ラスボス(当時でいうネルゲル)を倒し、その後もやりこみ要素にとりくんで、
まあ三ヶ月は遊べるかな、と思っていたのがまさか二年以上の長きにわたって、
プレイし続けようとは予期しなかったことである。いい具合に取り込まれたものだ。
これだけのプレイ時間を経てもなお飽き足らず、さらに先を目指したくなるのは
ドラクエ10がよくできたゲームの証明だが、この先、別のMMOもやってみたいかというと、
これはまっぴらごめんである。ドラクエの続編なら考えるかもしれないが、
他のゲームならどんなに面白かろうがごめんだ。MMOは確かにハマる、面白い、
しかし同時に、とてつもなく面倒くさいものである。今はその面倒くささを楽しむ、
というスタンスでやっているが、こんなものは一生に一度だけでたくさんだ。
(いくつものMMOを渡り歩いてる人は皮肉抜きに、いや本当にすごい)
人生が一度きりなら、MMOにこれだけ没頭するのもたったの一度きり。
そう割り切ることが、ドラクエに費やす時間の純度も高めてくれると思うのだ。
何年先かわからないが、いずれは元の場所に帰ることになるだろう。
好きな音楽を聴き、本を読み、パチンコを打ち、夜な夜な飲み歩き、
たまにはおねえちゃんとも遊ぶ、というささやかながら幸せだったかつての生活へ。
ドラクエ10と過ごした年月が、胸の中でおだやかな熱を放っていればいい。
そのためにも私は引退宣言をぶちあげて、のこのこ舞い戻ってくるようなことはしない。
どんな時も、とにかく続ける。自分なりにこのゲームをまっとうする。
おぼろげな未来を描きながら、今はただ、ドラクエにのめりこむのみである。
それはそうと、ゲーム内で金を稼ぐ才能は、リアルでのそれとほぼ正比例すると思うのだが、
いつまでたっても底辺職人の私からすれば、億単位の財産がある富豪職人は
眩いばかりの存在である。ゲーム内にとどめておくのがもったいないぐらいの逸材だ。
ニートに甘んじず、どんどん社会に出て才能を発揮すればいいのになあと、
これも皮肉でもなんでもなく、そう思ってやまない。