カルドセクシの冒険日誌

TBS系「モニタリング」という番組の、ベッキー演じる「木部さん」に
ひょんなきっかけでハマってしまった。平たくいえばドッキリなのだが、
彼女の別人格ともいえる「木部さん」というキャラクターを徹底的に
作り込むことで、従来のドッキリとはちがった味わいが生まれるのだ。

ベッキーといえば今までとくに好きとも嫌いとも、何とも思ったことがなく、
有吉命名の「元気の押し売り」的なイメージしかなかったのだが(笑)、
これを機にすっかり大ファンになってしまったほどだ。
未見の方は、何らかの策を講じてぜひ一度見てもらうとして、
木部さんはとにかく言動から何からキモい、挙動不審なキャラである。
（リンジャの塔にいるヒストリカ博士に通じるところがある）

それで学校やら結婚式やら、成人式に潜入するものだから、
周りの誰からも怖がられる。ベッキーとはまず気づかれない。
バレないように伏し目がちでいつつも、その時の変装用メガネや、
茶髪がかったおかっぱのウイッグ、これらが普段のベッキーよりも、
コンセプチュアルかつパーフェクトな容姿を際立たせていて、
「キモいんだけど、よく見たらキレイ」という何とも私のツボにくる、
ギャップ萌えを演出しているのだ。

周囲をだんだんと自分のペースにひきこみ、タネあかしをする終盤で
全部ひっくり返して、「もっていく」さまは圧巻の一言である。
後光がさして見える。女子高で最後に正体を明かす場面では、
感動を通り越して泣き出してしまう子もいる。これは選ばれし者、
芸能人の中でもとりわけ老若男女に幅広く知られ、好感度の高い
ベッキーだからなせるのだと思う。まさにスーパースターだ。
ベッキーといえば人気の反面、アンチも相当数いるけれど、
その場に居合わせたらまちがいなく笑顔になってしまうだろう、
それぐらいの底力を感じるのだ。こうやってみんなが、
明日からも生きていく元気をチャージしてもらう。
ベッキー自身もたのしんでいるように見える。

私は、「ベッキーになりたい」と思ってしまった。
ベッキーが好みのタイプとか、つきあいたいとか、そういうことじゃなくて、
ベッキーになりたいのだ。誰かになりたい、と憧れを抱くだなんて、
子どもの頃に佐山サトル扮するタイガーマスクを見て以来のことかもしれない。

もちろん私は芸能人ではないし、たぐいまれな容姿もカリスマ性もない。
ベッキー的な要素はなにひとつない。それでも自分のフィールドで、
すこしでもベッキーに近づけたら、と思った。要はミーハーなのだが(笑)、
さっそく髪形と髪の色を木部さんぽくしてみた。メガネでさらにそれっぽい？ 普段はキモくてもさえなくてもいいのだ。ここぞという時に、ばしっとキメる。
そしてささやかな元気を、押し売りするのではなく、そっと手渡せたなら。
逆に手渡されることもあるだろう。我々はきっと、そうやって日々をつないでいるのだ。