提案広場には連日、これでもかといわんばかりの不平不満がたれながされる。
そのほとんどは、「俯瞰した視点からドラクエ10を良くしていこう」という
広場本来の趣旨にそったものではなく、単に己の欲求を満たしたいためのものだ。
バージョンアップのたびに、「確率しぼりましたね?それならそうと、
ちゃんと発表してください!つきましては謝罪と賠償を(ry」とまくしたてる
シボッター君たちが大挙するのはもはや恒例、風物詩ともいえるものである。
個人単位での結果で、一体何が言えるのかなあ、それも公の場にこんな喧嘩腰で、
と私などは首をかしげてしまうのだが、根はもっと深いところにあるのでは、
とも思いはじめた。日本人の気質が変わってきたのではないだろうか、ということだ。
旧来、不平不満を口にせず、じっと耐えしのび、やるべきことを黙々とこなす……、
というのがこの国では美徳とされた。「おしん」である。ところが今は、
(私は家庭を持ってないから想像でいうしかないが)とにかく言ったもの勝ち、
ケチをつけられるところはとことん言い立てて、すこしでも利をせしめるべきだ、
といったことを家庭でも教えるのではないだろうか。世間をにぎわすクレーマーや、
モンスターペアレンツといった社会問題も、根っこは同じではないのか。
昔の日本人が何もかも良かった、とはいわない。はっきり自分の意見をいうことは
大事だし、そうしないと現代社会ではすぐにつけこまれてしまうだろう。
しかし、結局のところ私も古い人間なので、何がなんでも利をむさぼろうとする
ハゲタカのような姿勢には抵抗感をおぼえるのだ。
行動指針は、「何が正しいか」よりも「何が美しいか」で示されるべきだと思う。
そこからすると、ハゲタカ提案戦士は美しくない。システムの穴をついた、
逆天井ポーカーのような行為も美しくない。何よりも、誰もがうらやむステータスを
つくりあげている人たちは、提案広場に見苦しい投稿をする暇があったら、
ひたすら、黙々と、試行回数をつみあげていると思うのだけれど。