ある日のピラミッド。789を先に終え、旅芸人で1〜6希望を出していたところ
魔法使いに拾われた。戦士、旅芸、魔法、僧侶という一風変わった構成になった。
まあいまどき1〜6なんてなんでもいい。霊廟へと向かう道すがら、
人間♂の魔法使いがこんなことを言い出した。
「7も8も敵の強さ調整してませんかね? ボスまでたどり着けませんでしたよーw」
はあ。アクセやらオーブの確率を秘密裏にしぼった、という話はよく耳にするが、
強さ調整というのはあまり聞かない。あるとすれば公式に発表がなされるはずである。
全滅すれば運営のせい。一般的な感覚というのはこんなもんだろうか?
彼の装備をのぞきこむと全身退魔で、まあまあ悪くはないのだが、
練金内容からして7以降はちょっと苦労するかもね、というスペック。
何より彼はまだレベル84だ。カンストしていない。
こんなとき、「そうかもしれませんね〜^^」と軽く相槌を打つのが
分別ある大人の態度なのかもしれないが、何かにつけ一言多い性格である私は
言わずにはおれない。「うーん、もうちょっとスペックを上げるといいかもね〜^^」
彼は素直に聞き入れていたが、実際そういうことだろう?
いわゆる「サイレント修正」はあるかもしれない、ないかもしれない、
その程度の話しかできない。我々が問題にすべき点はそこではない。
(どうしても見えない敵と戦いたければ広場戦士となって気炎を上げればいい)
アテにすべきはレベルを1上げることによって上昇するわずかなHP、攻魔。
私はハッキリ明言されたこと、数値でハッキリ明示されたことしかアテにしない。
……というか、アテにしてもしょうがないのである。
コインボス持ち寄りで、みちびきの香水をおそなえしてくれる人がいる。
最初にささげてくれた人には感謝の意を表するが、続けておそなえする人には
「あーあー」ぐらいの感情しかない。これについては、香水の重複効果はないと
公式で明言されているからである。それでトルネコやミネアに会えたりすると、
「やっぱり香水重ねると効果ありますね^^」なんて言っている。
これを結果を元に導き出される話、つまりは結果論という。
サーバーを変えるとアクセに良合成がつきやすくなる、なんてのもこの、
結果論が幅を利かせた言説である。そもそも我々にとって何が良合成なのか、
向こう(プログラム)は知るはずもなく、機械的に、無作為的に抽選しているに
すぎないのだから。あえてこの話に乗っかってみると、
良合成をもとめてサーバー移動したらかえって搾りカスすら残ってないサーバーに
来てしまった、なんてことにもなる。たて続けにショボ合成を引けば、
結果論者はこれを「流れ」のせいだと説明するだろう。まだいい流れがきていない、
そのうち当たりを引けば「流れがきました^^」などという。
要するにこんな話は尾鰭をつけるように、いくらだってできるのである。
「個人的な結果」というあまりに狭く、限定的すぎる観測範囲はなにもアテにはできない。
それは何千人、何万人という結果を束ねて統計をとることで、はじめてデータとしての
実効性をもつ。まあ個人的なジンクス、験かつぎというのならば何も言うことはないが、
物事を筋道立てて、論理的に考える態度は愚か。オカルトにたよる自分のほうが上策だと
斬って捨てるなら、逆に斬られても文句はないだろうって話だ。
カイジ vs 班長のチンチロ対決を思い出してみるといい。勝負途中、班長は
「それでもわしは信じていての……ときに念が、サイコロの目を左右することを」
なんてことを言い出してカイジらを煙に巻く。しかしこれは、(イカサマの)四五六賽の存在を
覆い隠すためのカモフラージュ。実際には彼は、出目ごとの勝率まで割り出して
(イカサマではあるが)とことん理に徹した勝負にのぞんでいたのだ。
対するカイジは最初は徒手空拳、負けるべくして負けていたのが、
安いシナリオの少年漫画なら主人公だけにはたらく不思議な力で勝つところを、
班長以上の理を積み重ねることで勝った。チンチロ対決は二人の理のせめぎあいだった。
理は明確な数値の上にはじめてそびえたつピラミッドである。
その基盤があやふやだったらどうしようもない。次のバージョンで出る新ツメは、
さすがに理論値は無理にしても準理論ぐらいは買いたいと思っている。
ツメという武器自体の存在価値はさておき、結局たよるべきはそこ、だからだ。