推しへの愛を叫び隊!という企画があるようなので、
便乗してみる。私がドラクエXに登場したNPCで一番好きなのは、
これはもう何といってもベルマ様である。
ver4のストーリー自体はあまりノレず、今ではあらかた
忘れてる始末だが、ベルマ様の魅力につき動かされて
プレイしてたようなものだ。その人物造形、口調、
豊かな表情(顔芸)、何もかもがすばらしい。
ベルマ様はヒロイン格ではないが、ここではあえて、
ピカレスク(悪党)ヒロインと呼ばせていただきたい。
この系譜を継ぐのがver5のヴァレリアである。
私はどうも昔から、アンルシアのような正統派ヒロインより
この手の、ピカレスクヒロインに惹かれてしまう性分だ。
この世の中には、絵に描いたような100パーセントの善人も、
悪人も実はいない。我々はみなグレーなところで漂ってる存在だ。
「それが人間なのだ」と雑にまとめてもいいのだが、
煮え切らない部分もある。悪党にもなれない奴に、
一体何ができるんだという思いもある。少なくとも私はそうだ。
あえて悪のエリアに身をおく潔さへの、ほのかな憧れが
具現化したのがベルマ様であり、ヴァレリアだといえる。
そしてまた彼女らも、ピカレスクヒロインではあるけれど
根っからの悪人ではない。そこの物語を丹念に描くのがドラクエでもある。
私もまた悪党にはなりきれないものの、基本的には底意地が悪くて、
計算高くて、皮肉屋の小悪党的な性格である。
しかし一方でピカレスクを演じていれば、もう一方では
憑き物が落ちたように、人に優しく愛想よくすることができる。
ヴァレリアが孤児院では柔和な笑顔を見せたように。
ピカレスクヒロインの物語を読み解くのは、
そんな自分の多面性、可能性を探るための旅でもある。