いらすとやの絵を見かけない日はないが、いらすとやが偉いのは
広告収入でマネタイズするシステムを確立してるからであって、
無料だから、ではない。この「無料」の部分が一人歩きしてしまうと、
世のため人のため、滅私奉公するのが偉いみたいなことになって、
それは誰にも幸せをもたらさないと思うのだ。
インターネットには古くから、「嫌儲」という言葉に代表されるような
人が儲けるのを嫌う価値観がある。その背後にあるものは
人それぞれ違うだろうから一括りにはできないが、
金を稼ぐことに真剣に向かいあわずとも、なんとなくフワッと、
生きてこれた人たちなのかな、と想像する。
たとえばラーメン屋なんてのは一年後には4割がつぶれてしまう世界だ。
儲けが出なくても、納得のできる味を提供できれば、
なんて言ってる場合ではない。お金は幻想であると以前書いたが、
お金と無関係でいられる生き方というのもまた、幻想なのだ。
嫌儲の人たちが好む「人のため」は、最初は純粋な気持ちでしかなくても、
いつか「こんなにしてやってるのに何だ」という
気持ちにすり替わってしまう時がくる。必ずくる。
対価がなければ、結局我々はしのいでいけないからだ。
ならば最初から「自分のため」にやればいい。その方が潔い。
自分のためにやっていたつもりが、気がつけば「人のため」にも
なっていたとしたら……それはハッピーだね、という話だ。