お固い話が続いたから、ちょっと手綱をゆるめて食べものの話でもしてみるか。
食生活というのはまことに十人十色、百人百様で、
当人が当たり前だと思っているものが他人からすれば、
「何だそれー!」となるのが面白い。
私のある一日を紹介すると、まず朝は基本的に食べない。
せいぜいコーヒーを飲むぐらいである。昼は一番ガッツリ食べる。
ご飯と味噌汁、おかずは青魚の塩焼きや味噌煮を中心に、
ひじき、おから、切り干し大根などのお惣菜。
夜は鍋である。鳥のモモ肉か豚のバラ肉あたりを買ってきて、
同じくスーパーの特売で買った野菜もぶちこむ。
平らげてまだ余力があれば、〆にラーメンかうどんを入れる。
これを冬場だけでなく夏でも食べる。小腹がすいた時は
パンをかじるぐらいで、お菓子果物の類はほとんど食べない。
日本人は毎食米である!みたいなこだわりはなくて、
むしろ米、麺、パンとローテーションしていきたい派である。
こんな話をしていたら、そもそも炭水化物を食べない、
なんて人もいたりして、カルチャーショックは至るところにある。
「何を食べて、何を食べないか」という選択は、
我々にとって最も身近な哲学といえるのではないか。
世間では、たとえば「肉は健康に悪いから食べるな」といった
大勢の意識に逆張りを掲げる、その手の本が売れていたりする。
字面が強いから、なびいてしまう人もそれなりにいるんだね。
そもそも体質が人それぞれ違うんだから、万人に共通する
食べ物の良し悪しもないだろう、とは思うのだが、
まあこれは素人考えということでもよろしい。
しかし他人の哲学に頭を乗っ取られてしまい、
自分の哲学は外に追いやられてしまうなんて、
こんなにつまらないことはないだろう。
(医者から止められでもしない限り)肉が食べたきゃ食べるべきなのだ。
教科書的な正解に迷った時、たよるべきは自分の哲学をおいて他にない。
他人の喧伝する正解に耳を貸さない方がいい。
それは突き詰めてみれば、他人の哲学でしかないからだ。
他人の哲学をなぞって山頂にたどり着いても、
そこに何の達成感があるだろうか。せいぜい参考程度、にとどめておくべきだ。
ドラクエXにも「他人の哲学」はあふれ返っている。
それに乗っかるほうが楽ちんではある。でも本当に耳を傾けるべきなのは、
内なる声、自分だけの哲学なのだ。そして今日も私はお固い。