なかなかひどいタイトルだが、真っ向から自分と向き合うと
こういうことになるのだから仕方がない。取り柄らしい取り柄が
私にはない。なまじ中学までは飛び抜けて勉強ができただけに、
自分が凡人以下であることに気づくのも遅れたタチの悪さである。
会社では決まってお荷物、かといってテキパキと家事をこなす
能力があるわけでもない。まかり間違っても結婚生活など
営めるようなタマじゃない。じゃあヒモか?
パチンコ銭をせびって「超ヒモ理論」で生きていくか?
メンタル的には一番適正があるようにも思うが、
あれはあれで才覚がいるものだからヒモにすらなれない。
昔の中国なら酒飲んでポエムじみた文章を書いていれば
李白になれたのかもしれないが、現代は世知辛いものである。
THE 無能であることは当然ドラクエにも及ぶ。
戦闘勢からは早々に脱落し、職人勢としても位置的には
富裕層の底辺ぐらいである。しかしここで世間的な尺度ばかりに
振り回されていれば、どうしようもない無力感や敗北感に
さいなまれてしまうことになる。別のやり方で自己肯定をはかること、
それが無能に生まれついた者の使命なのかとも思う。
いつからか私は、「自分が錬金した武器で誰かがエンドボスを討伐すれば、
それは自分が討伐したも同じこと」という理論を編み出した。
ツボキャラ、リグレットの名を冠したいわゆる「リグ理論」である。
それは私のモチベーションを高め、多くのエンドプレイヤーとの
交流を生み出した。私のような人間は、時には無理してでも
自分をねじ込んでいかないと世間との接続が保てない。
その媒介として錬金職人キャラはうってつけだったのだ。
もちろん、自分に言い訳している部分はある。
見る人から見ればこんなのは逃げ口上である。
しかしこんな私でも、それなりの役割を果たせるわけだから
ドラクエXは優しい世界だなあと思うわけでもある。
その優しさがもっと多くの人に注がれますように、
そんな祈りを込めつつ、無能であることの意味を噛みしめつつ、
今日も私は錬金にいそしむのである。