カルドセクシの冒険日誌

ロシア軍のウクライナ侵攻、という衝撃的なニュースが報じられた。
うちのテレビは諸事情あってテレビ番組が映らないので（ゲーム専用）、
こういう時ばかりはドラクエもそこそこに、ニュースサイトを
見て回ることになる。この胸がざわつく感じ、
なんか覚えがあるな……と思ってたら、私がまだ若い頃に起きた
湾岸戦争に似た空気感であった。

アイドルポップス史には、実はこの湾岸戦争のことを
（前後してベルリンの壁崩壊も）歌った曲がある。
CoCoの「Newsな未来」である。作詞は後にエヴァンゲリオンの
一連の作品で名を馳せる及川眠子氏だ。


悲しい報道（しらせ）聞いたあの夜に
ちいさな誓いたてた


アイドルポップスとしてはこのへんが限界だろう、
という現場的な判断があったのかは定かではないが、
「こういうことがあった」というぐらいの歌詞で、
政治的、思想的な曲ではない。ましてや当時の彼女たちは、
自分たちが何を歌っているのかもよくわかっていなかったのではあるまいか。
しかし、悲しみが舞い降りてもそこから希望を立ち上げていくことの
尊さが描かれている。彼女らの無垢な歌声に乗ることで、
歴史的事実とあいまって、なおさら胸に迫るものとなっている。

これはSNS社会の本当に悪い部分だと思うんだけど、
世界を揺るがすような事件が起きても、一段高いところから
物知り顔で分析めいたことを言ってみせる、それで何かやった気になってる
人が多すぎるような気がする。こういう人たちは分析の結びには、
「考えさせられる」なんて言葉をもってくる。
何のことはない、考えてるポーズを取ってるだけだ。
中立しぐさをしたいだけで、実際には何も考えてやしないのだ。

今、ウクライナには絶望しかない。我々がなすべきなのは
悲壮な決意で戦場に向かう兵士たちの、銃火におびえる無辜の民の、
悲しみに寄り添うことであり、軍事制圧というあからさまな巨悪を
糾弾することだ。やり方は人それぞれでいい。

「自分は政治も世界情勢も無知だから何も言う資格はない」
と考えてる人がいるなら、それは大きな間違いだ。
いい歳した私だって、ロシアとウクライナをめぐるあれこれは
手に余ることが多すぎる。第三次世界大戦にも発展しかねない
今回の事態に悲しみを、憤りを感じたならば、
誰に負い目を感じることもなく「戦争反対」を叫べばいいのだ。
CoCoが「Newsな未来」でアイドルポップスの新たな地平を
切り拓いたように、それはあなた自身の歴史の転換点となるかもしれない。

そして蜘蛛の糸のようなか細い希望をたぐり寄せていくのだ。
ニュースにもならないような、穏やかな未来を目指して。