彼は進んでいく…薄暗い魔の森を進んでいく。
闇に咲いた見たことのない花たち…
闇に照らされた魔獣の眼の輝き…
しかし、彼にとってそれらは意味のないもの。
お構い無しに進んでいく…
「たしか、この辺りで声が聞こえたはず…」
微かに光る夜洸晶が照らしたのは月光のような銀色に輝く髪をしたひとりの少女だった。
少女は彼に気付き、一雫の涙が頬をつたう。
「…っと、…やっと、人に会えた」
そして、少女は安心したのか気を失った。
これが赤髪の彼と荊を枷られた少女が出会い、運命の歯車が廻り始めた瞬間であった。
そう、これは序章に過ぎない…
ふたりの行く先はこれからどうなってしまうのだろうか…
ー続ー