やきにくやの冒険日誌

ここは毎度おなじみ
焼肉屋ぞうもつ亭

ある日、やきにくやは珍しく
溜息をついていた… やきにくや
「ハァ…」

おりん
「どうしたのですかァ？やきにくやさまァ？
　溜息なんてついて…」

やきにくや
「う～ん…？いやぁ実はよぉ
　昨日さあ、魔法の迷宮で良い肉が手に入ったんだよ」

おりん
「はい」

やきにくや
「一人で黙って食おうかなぁと思ったんだけどさぁ
　さすがに食いきれない量だったんで誰かに食わせようと思ってさぁ
　それでいつも金貸してくれてるラグアスを店に誘ったんだよ」

おりん
「はぁ」

やきにくや
「その食事会の時の事だったんだが…」












－焼肉屋ぞうもつ亭－



ラグアス王子
「今日は僕のために
　こんな素晴らしいお肉をありがとうございます、やきにくやさん」

やきにくや
「いえいえ、どういたしまして
　この肉は
　今朝魔法の迷宮のドラゴンガイアを討伐して
　すぐに焼き上げたものです
　なので肉汁が爆発するほどの勢いで飛び交っております
　すごく美味しいと思いますよ♪」

ラグアス王子
「成程…む、この肉よく見ると所々生焼けの所がありますね…」

やきにくや
「その部分はヤツの竜眼による呪文完全ガードによるものです」
　ワインと一緒に口にすればより新鮮な美味しさが味わえますよ」

ラグアス王子
「そうか…わざと竜眼を発動させる事で美味しい部位を生にし
　ワインに合うように仕立てたんですね…！
　素晴らしい工夫ですね…やきにくやさんの焼肉にはいつも驚かされます
　では早速…いただかせてもらいます」

やきにくや
「どうぞ召し上がりください」

ラグアス王子
「…っ…っ…」
　……っ！
　こ、これは…！」

やきにくや
「どうですか？美味しいですか？」

ラグアス王子
「あぁ…やきにくやさん…この肉はとても素晴らしいです…
　これは…これはとっても…」 ラグアス王子
「優しい味ですね…」

やきにくや
「ハァ？」 やきにくや
「ねえ優しい味って何なのかなぁ？
　料理に優しいとか優しくないとかってあるの？
　普通料理っていえば美味いか不味いかのどっちかだよねえ？
　ぼく、難しい事よくわからないんだけどさぁ
　何をどう評価すれば優しい味っていうんだろうねえ？」

おりん
「やきにくや様、目が、目が優しくないです」

やきにくや
「あぁ！？」



いったい優しい味ってなんなんだろうね♪


－おわり－