やきにくやの冒険日誌

やきにくやぞうもつ亭
ある夜の事 やきにくや
「床屋さんに行きたいのでお金を貸してください」

おりん
「そんなお金はありません」

やきにくや
「じゃあ働いて稼ぎなさい」

おりん
「やきにくや様がネェ…！！」

やきにくや
「髪を切ったら働きます」

おりん
「私としては今すぐアナタをぶった斬りたいんですがネェ…！！」

ドバドバドバッ！！
やきにくやは逃げ出した！！
　


やきにくや
「危ない危ないさすがにまじで殺されるところだった…」
　先月クマに殺されたばかりだってのに…
　これ以上殺されてたまるかっての
　…しかしどうすっかなぁ…床屋に行く金もねえんじゃあ
　文字通り草生えるどころか髪生えるだぜ」


やきにくや
「…仕方ねえ、床屋に行けねえなら
　このワシ直々に引導を渡してくれるわ！
　幾数年肉を斬り続けてきた我が刀工技術を
　今こそ髪の毛に使う時が来てしまったようだな！
　ふっふっふ…文字通り身を削るとはこのことか…
　身じゃなくて髪だがな
　ではいざ往かん！！神よ！科学よ！イヴよ！
　我に髪を斬る神の力を授けたまえ！！
　空中天地色即是空降伏軍魔轟雷諸光！
　我美の祝福賜らば言の葉は降魔の剣と化し
　汝に遍く厄を逃れる術もなし！！」
やきにくや
「でやあああああああ！！！！」

やきにくやははやぶさ斬りを放った！

やきにくやはギガスラッシュを放った！

やきにくやはミラクルソードを放った！

やきにくやは火炎斬りを放った！

やきにくやはギガスラッシュを放った！

やきにくやははやぶさ斬りを放った！

やきにくやははやぶさ斬りを放った！

やきにくやはアルテマソードを放った！



ズババババババババっ！！


















そして―。


















ラグアス
「おや？やきにくやさん
　その髪型は一体…？」

やきにくや
「知らない知らない僕は何も知らない」

髪の一つも斬れないくせに
誰も知らないその髪の毛は
後悔の中に吸い込まれて消えてった


‐おわり‐