私「ドルタムさん…」
ド「な、なに?」
わ「私の話を聞いてもらえますか?」
ド「え、うん。」
わ「うちに、おひなさまがあって。」
ド「…?」
わ「三人官女の一人が、あの持ち物、木製のお盆みたいなやつ?
あれを手から落とすようになったんですよ。」
ド「…えーと。」
わ「最初はふつうに持ってたんですけど。
ある年から、今までどうやって持ってたっけ?みたいに、どうしても乗らなくなって。」
ド「あー…。」
わ「でもそっとバランスをとると、乗るんですよね。 それで毎年ひな祭りには、その官女にそれを持たせるのが、ミッションみたいになって。」
ド「そっか、それで。」
わ「はい…」

ド「さっきからボクの手に、スティックを装備させようとしてるんだね?」
わ「おかしいですよね…。
たしかに右手を選んだはずなのに、気づいたら左手に盾を装備させてるって…。」
ド「ごめんね、ボク盾しか装備できなくて。」
わ「でも右手が選択肢として出てくるということは、ひょっとして、盾を2つ装備できる可能性は?」
ド「ふふっ、盾っていうのはね、心の中にひとつだけ、大事に持っておくものなんだよ。」
わ「はっ…!ふ、深い!おみそれしました、さすがドルタム先生。」
ド「ところで、君がよく言ってるツッコミっていうのは、戦闘中のあれとは違うの?」
わ「あ、はい。どちらかと言うと、ナンナさんがよくカブさんにやってるようなやつです。」
ド「あはは、それはボクには無理かなあ。」
わ「そうですよね、あはは…」
このとき私はほのぼのとして、もうツッコミはなくてもいいかな、という気分になっていた。

ヴァレリア「私を呼び出すとは珍しいな。
くだらぬ用件なら、ただではすまんぞ。」
私「由々しき事態です。」
ヴ「言ってみろ。」
わ「まさかゼクレス勢が二人、ファラザード勢が二人上がってくるとは。」
ヴ「ああ、ナイト総選挙か。」
わ「このまま傍観しては、バルディスタの名折れ。」
ヴ「それほどのことか?」
わ「バルディスタは男日照り、魔王は一生独身などと言われていて良いのですか?」
ヴ「キサマが言っているのか?」
わ「いえ決して。」
ヴ「それでどうしろと?」
わ「ここは、ベルトロさんです。」
ヴ「わが国はそこまで人材不足か?」
わ「ベルトロさんこそ逸材なんです。
あの渋い魅力に、コアなファンも多いし。」
ヴ「なんにせよ、総選挙はもう始まっているのだぞ。」
わ「今から来年に向けて布石を打つのです。
ベルトロさんを担ぎ上げるキャンペーンを始めましょう。」
ヴ「そこまですることか?」
わ「今、魔界ムーブがきていることは確かです。
われわれも、この波に乗らねば!」
ヴ「すまないが、おまえの立ち位置をもう一度よく思い出してみてくれぬか?」
わ「とりあえず、なにかネタになるものを探しましょう。
ベルトロさんのことを、なんでもいいので教えてください。」
ヴ「ベルトロの話を聞くために私を呼び出したと?」
わ「別れた奥さんとはどうなってるんですかね?」
ヴ「くだらぬ用件なら、ただではすまんと言ったはずだが?」
わ「こういうエピソードって大事ですよ?」
ヴ「…ひとつ問おう。あやつが仮に出場できたとして、優勝をねらうか?」
わ「正直、そこまでは。でも予選を勝ち抜くだけでも、すごいことですし。」
ヴ「私はクイーン総選挙はいつも、優勝するつもりで挑んでいる。
勝つ気がなければ、やる意味はないのだ。」
わ「それでも出てくれれば、ファンには嬉しいものですが。」
ヴ「あやつが勝ちを取りに行くつもりもないのなら、出る必要はない。
バルディスタとは、そういう国だ。」
わ「…」
ヴ「あいつも、ヘラヘラして見えるが、わかっているはずだ。」
わ「…おみそれしました。
どうやら私が浅はかだったようです。」
ヴ「いや、あいつを高く評価してくれたこと、嬉しく思う。」
わ「では、優勝を狙えるイベントを開催しましょう! 裏コンテストなんてのはどうですかね?
ナブレット団長が上がってきてないのも納得いかないし、オーバー30限定とかは?」
ヴ「くだらぬ用件なら、ただではすまん。
三度目だが?」
こうして私は氷像となり、まだ異界に立たされているのです。

(写真はイメージです。
本文とは関係ありません。)