蒼天のソウラ世界観ベースの二次創作
ラストはレオナルドさんリスペクト。
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4人と1匹がやってきたのはメギストリス領・メギラザの洞窟だった。
「住んでる魔物と生えてる植物、両方聞き取りしてみたけど十中八九こっちっすよ」
ミサークが得意げに胸を張るのを見て、ごましおが真似して胸を張る。
本当に仲のいいチームなんだなぁと、ハクトとマージンは目を細めそっくりな顔をする。
水分を十分に取らせ本来の大きさに戻したジェリーマンを入り口に置くと、いそいそと洞窟の奥に入っていった。
「父さん、ぼく、あのジェリーマンが子どもに逢えるか見届けたいです!」
「オレも見たいー!ミサークくん、一緒に行こう?」責任感か好奇心か、子ども組はもう少しジェリーマンと一緒に居たいという。
折角頑張ったのだし最後まで見届けようと、4人も洞窟に潜りジェリーマンの後を追った。
※
「\9-----!!!!」
奥から叫び声が轟いた。
4人が駆けつけると、先程のジェリーマンがスモールグールを威嚇していた。
スモールグールの手にはぐんにゃりとした小柄なジェリーマンが握られている。
「まさかあのちびジェリーマンが子どもなのか!?」「子どもだけじゃ縄張りが維持できなかったのか…」「助けなきゃ!」
「その子をはなせー!」
4人は次々に愛用武器を抜き助太刀に駆け出そうとするが…
「ソノコ~65#!!!」
親ジェリーマンから魔力が爆発的にほとばしり、身体が膨れ上がる。
「まさかこれが遺失呪文《モシャス》!?それにしては魔力量が多くないか??」
ミサークが指摘する膨大な魔力の奔流は強風を呼び、小石飛礫が舞う。
成人男性のマージンやミサークすらタタラを踏んでしまう砂嵐から、やがて巨大な影が現れる。
兜鉢は獅子の如し、真っ赤な大袖鬼の如し、巨大な足で大地踏み締め、胸には天突く2本のアンテナ、その姿はまさに……
「「ドルセリオンだー!!」」
そこに立っていたのは、ハクトとごましお憧れのヒーローロボ・ドルセリオンだった。
※
見たことのない巨大生物に恐れをなし、スモールグールはほうほうのていで退散する。
見えなくなったのを確認してから、親ジェリーマンは変身を解いた。
「21○8…!」
「ボ♪8!」
子ジェリーマンは久しぶりに親の姿を見つけ嬉しそうに駆け寄り、親ジェリーマンは我が子を受け止め感動の再会を果たす。
「良かったねぇ、良かったねぇ」
素直に再会を拍手で喜ぶごましお。
「お子さん、大きな怪我はしてないみたいですね」
眼鏡のスキャン機能で子ジェリーマンをチェックし、アモールの水を差し入れるハクト。
「架空の無機物にまで化けられるって、そりゃ高値で取引されるわ……」
目の前で見た遺失呪文に度肝を抜かれるミサーク。
「ドルセリオンが出る洞窟か、こりゃ人気スポットになっちゃうぞ?」
今後の予測を立てて対策を考え始めるマージン。
4人それぞれの感想を残し、小さな勇気の冒険譚は幕を閉じた。
※
「ハクトくん、またね!」
「はい!またどこかで会いましょう!」
保護者に手を引かれ、ハクトとごましおはお互いの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
「ハクト」
「なんですか父さん?」
マージンは黙ってハクトに手のひらを見せた。
ハクトは一瞬考えたが、その手のひらは尊敬する父が認めてくれた証と理解すると喜びと感謝を込め、己の手のひらを打ち付け高らかに音を鳴らした。
「「クリア!」」
「そっか、ドルブレイブショーで会ったのか」
「うん!ポップコーン半分こしたの!」
「今度、ヴェリナードでお祭りやるだろ?あれの花火大会にマージンさん出るかもなー」
「おぉ!そしたらハクトくんも来るかな!?」
「来るかもなー」
日の入間近の時間帯、新たな縁を探すように影が長く長く伸びていた。
【完】