通報一歩手前ギリギリ日誌
< 第三部:匠の決意 >
娘の手紙を封筒に収めるモルニフ。
彼は自らの手を見つめ、こう呟いた。
『 …俺の手は汚れちまってるからな。 もう妻と娘をこの腕で抱きしめる事は、出来ないのだろうな… 』
戦士が自らの血塗られた手を見ながら、自らの業を省みる台詞だ。
彼の場合は、unk塗られた手。かっこよくもなんともない。
『 …娘と妻に。何か贈り物をしなくてはな。 』
そう呟くモルニフ。遠く離れた地に残した家族を思いやる父。
彼にできる事は、せめて心をこめた贈り物を渡すことしかない。それを察したのであろう。
我々取材班の胸も、感動で熱くなる。
『 …最高のfunを 届けてあげなくてはな (・´ω`・) 』
やめろ。お前本当にやめろ。 やっぱわかってねーなこいつ。
『 あんたたち、最高のfunを知っているかい? それはumaでもushiでもない 』
『 最高のfun。それはモンスターのfunなのさ 』
フーン。あ、いや違う。つい言ってしまった。恥ずかしい。
そう言うと彼は、我々の反応を待つ事無く、扉を開けて外に飛び出していった。
我々取材班も、あとを追う。
バドリー岩石地帯。彼が向かう先は一体…?
< 第四部:至高のfun >
素晴らしいスピードで駆け出してゆく、モルニフ。
その身のこなしは、とても一介の職人のそれには見えない。おそらくこの職に着く前は、
戦闘に手慣れた冒険者であったのだろう。
速度を緩めることなく、彼は瞬く間に、1体のヘルジュラシックの元にたどり着いた。
スタッフの一人が呟く。
『 おい、あいつ素手だぜ…!? 』
素手でどのように戦うのだろう…息を飲む私達。
次の瞬間。モルニフはヘルジュラシックの首を絞め始めた。
格闘とか、ばくれつけんとか、そんなんじゃない。単なる首締めだ。
筋肉ダルマ、脳筋すぎる。
暴れるヘルジュラシック。もみあうモルニフ。
すげえ。あいつすげえ。すげえけど、なんか嫌だ。もみ合う男とモンスター。もー見てられない。
やがてヘルジュラシックは落ちた。気絶したのであろう。
その姿を見たモルニフは、ヘルジュラシックの腹部に、正拳突きを入れた。
次の瞬間
ヘルジュラシックから夥しい量の
#$%$&%$&$%$”$
ピーピーガガガピー
< 中継に一部不適切な表現がありました。今しばらくお待ちください >
< 第四部:家族への贈り物 >
小屋に戻ると、モルニフは早速funの加工作業に取り掛かった。
2時間後。扉が開く。そこには、仕事を終えた満足感に浸る、一人の匠がいた。
『 完成だ…見てくれ。至高のfunだ。輝いているだろう 』
『 先ほどのヘルジュラシックの物に、私の物も加えた、最高の一品さ 』
またやりやがった、こいつ。奥さんと娘に何渡す気だ。
『 レポーターさん。すまない。先ほどの娘の手紙の返答として、彼女達にこれを渡してくれないか。 』
彼はそう言うと、直接私達にその fun を渡そうとする。
きったねーな。袋に入れろよ。
『 きっと、娘も、妻も。この想いを判ってくれるだろう… 』
< エンディング BGM:地上の星/中島みゆき >
私達取材陣は、モルニフの小屋を後にする。
いつの間にか、日は落ち始め、鮮やかな夕日が岩石地帯を彩っていた。
後ろを向くと、モルニフが手を振っている。娘と妻への万感の想いを込めているのだろう。
私達の姿が見えなくなるまで、彼は手を振り続けていた。
彼の姿が見えなくなる。私達取材陣も、寂寥感を覚える。涙ぐむものも居る。
私も涙で前が見えなくなってきた。
職人の道を歩む男と、その家族愛。皆さんの心も、打ち震えたことであろう。
彼の思いのこもった、大量のfun土産。
私はそれを谷底に投げると、その場から立ち去って行ったのであった。
~Fun~
※ 渡せるかっ