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エンターテイナー

メイア

[メイア]

キャラID
: TQ241-843
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 僧侶
レベル
: 130

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メイアの冒険日誌

2014-02-01 06:08:43.0 2014-02-01 06:14:07.0テーマ:モンスター・ボス討伐

ショートストーリー⑮ 小さな防衛線  ~後編~

   リゼロッタ 『 パパ、ママ、私達を守って… 』 
                                 
          

『 全軍!撃てーっ! 』



勇ましくもどこかに幼さを残す、リゼロッタの高い声が響き渡る。







その声は子供達の心を奮い立たせた。
崖の上に潜んでいた子供達は一斉に立ち上がる。

崖下のバトルレックス達は、その子供達の姿に気が付いているのかいないのか。
正気を無くした目で前を向き続け、ただひたすら進軍をする。
彼らの目的地である、ダーマ神殿に向けて。



弩から、無数のクォレル(矢)が一斉に放たれる。併せて複数のヒャダルコの呪文の詠唱が始まる。
クォレルは重力により加速を増し、バトルレックスの厚い皮膚を貫く。
少し遅れて、氷の飛礫(つぶて)が竜を襲う。皮膚を切り裂き、凍傷を与え、進軍を遅らせる。



年長者達は続けて弩を打つ。呪文を詠唱する。
まだ幼い子供達は、クォレルが放たれた弩を受け取り、再度クォレルをつがえる。
MPの切れた魔法使い隊に聖水をふりまき、手のすいた物は手ごろな石を投げつける。



矢と氷の五月雨は、暴風雨のようにバトルレックスたちを襲った。







                   " いけるっ…! "







リゼロッタに、手ごたえを得た表情が浮かぶ。私の選択は間違っていなかったんだ。
先程の不安に満ちた表情は晴れ、戦況の好転に表情も明るくなる。



…はずだった。



普通では倒れるであろうダメージを受けたにもかかわらず、バトルレックスたちの進軍は止まらなかった。
その狂気に満ちた目で、徐々に町の入口へと近づいてゆく。






                 『 何で! 何で倒れないのよ! 』






初陣である彼女は、戦いのリスクを知らなかった。
死地における魔物は。時として死を超えた行動をとる。力を発揮する。
手負いの獣が、普段以上の力を発揮するように。

彼女の失点。遠距離攻撃だけでは、決め手が足りていなかった事。
止めを刺すという、決め手が必要だったのだ。

ついに先頭のバトルレックスが、射程外になってしまった。
1頭、また1頭と抜け出してゆく。

敵はもぬけの殻となった、セレドの街の入り口にたどり着いた。
ダーマ神殿への障害となる家屋を燃やすべく、ゆっくりとその口を開け、"はげしい炎"の準備動作に入った。













                  『 やめてーっ!!!!!!! 』












リゼロッタの悲痛な叫びが、戦場に響きわたる。












                   " パパ  ママ!  …助けてっ!!!!! "












次の瞬間。












先頭のバトルレックスたちが、音を立てて崩れ落ちた。
振動で、土煙が上がる。

何が起きたか、理解できない子供たち。












土煙が、風で晴れる。












そこには、一人のプクリポが立っていた。














             ( 'ω') '◡') '∀') 『 ユウちゃんだあぁぁぁっー!!!!! 』






小さい子達が、歓声を上げる。
そこにいたのは、まぎれもない。あのユウだった。

彼は爪をふるうと、手負いのバトルレックスを1頭、また1頭と続けざまに屠ってゆく。
爪が空気を切り裂く音を聞き、リゼロッタが我に帰る。






       『 弩班!魔法班!引き続き撃て! セレドの防衛線は彼が守ってくれる! 』


            『 出来る限り!バトルレックスに損害を与えるのよ! 』






" おぉーっ! " と子供達の勇ましい声が響き渡る。
彼らは今、一人の将と、それを支える戦士たちとなった。

次々と放たれる矢、呪文。唸りを上げる爪。
正気を無くしている手負いの獣たちは、為す術なく、その餌食となってゆく。



そして、最後のバトルレックスが倒れる。



子供達は、勝ったのだ。






            ( 'ω') '◡') '∀')  『 やったああぁぁぁーっ! 』






子供たちの歓声が響き渡る。笑顔になり、抱き合い、喜びあう子供達。









リゼロッタはその輪を見届けると、崖を迂回し、街の入口へと急いだ。
息を切らせ、躓きそうになりながら、坂道を駆け下りる。
その頬に流れていた涙は、すっかり乾ききっていた。



小さな勇者が守りきった、小さな防衛線に彼女がたどり着いた時。

勇者はその姿を消していたのだった。



~ そしてエンディングへ ~
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