ドレスアップコンテスト応募作品の、バックグラウンドストーリーです。
『 かんぱーい! 』(♪ガチャン!ガチャン!)
コロシアムの地下に、野太い男達の声と、割れかねない位の乱暴にジョッキがぶつかり合う音が響き渡る。
酒場の飼い猫のシャムはその音に驚き、走り抜けてゆく。
それは、今日だけの光景では無い。"毎日"繰り広げられる光景。剣闘士達の宴だ
剣闘士。血の気の多い彼等は、その血のたぎりを、コロシアムという戦いの場で鎮める。
そのような男たちは、得てしてアルコールを好み、また強い。
戦いでその血を清め、酒で心の炎を消し去るのだ。
ジェイコフは、その光景を楽しげに眺めながら、右手の麦酒を一気に空ける。
彼にとって、麦酒は水も同然。少し浅黒い肌の色には一切の変化は見られない。
『 おう!ルーキー! こっち来い! 』
机に突っ伏していた君は、けだるそうにその頭を持ち上げる。
" 一体何時間飲み続けるんだ… "
君は少し恨めしそうにジェイコフに視線を向ける。
ジェイコフは、少し殺意の乗ったその視線を知ってか知らずか。次の麦酒をジョッキに
注ぎ始めている。
『 歴戦の冒険者のお前も、このコロシアムに入ればひよっこ同然だな! 酒も力も、強さを求めろよ! 』
がはは。豪快にジェイコフが笑う。 「 女もな! 」 周りから冷やかしの声が飛ぶ。
少しの冷笑が混じり、熱気に満ちた部屋の温度が少し下がったような気がした。
ジェイコフは君の元に歩み寄ると、ジョッキを片手にこう切り出す。
『 今日はお前の初勝利の祝いだ。 特別にこのコロシアムの宝物を見せてやろう 』
君は訝しがる。宝物?酒に酔ったオッサンの他愛のない戯言だろうと聞き流そうとした。
だが、ジェイコフの瞳に宿る炎は、君の疑念を打ち消すのに十分な輝きを放っていた。
ジェイコフは、コロシアム地下の一つの扉の前に君を招き、その扉を開けた。
そこには、一式の鎧が据えられていた。
『 新入り。よく聞いておけ 』
『 剣闘士は、人を切る。たとえそれがスポーツであったとしてもな 』
『 勝つ為の殺気って言うのは、そりゃ必要なもんさ 』
君は黙りこくって、ジェイコフの話に耳を傾ける。
いつの間にかジェイコフの手にあったジョッキは、その姿を消していた。
『 だがな。コロシアムの殺気っていうのは。相手の命を奪う殺気じゃない 』
『 相手に敬意を持った、「 真の剣闘士の闘気 」ってもんがあるんだ 』
『 真の闘気とは。この鎧のように黄金の輝きを放つ鎧のような物なのさ 』
『 剣闘士はみな。そんな 「 黄金の鎧 」 を纏うことを夢見て。日々剣を振るうものなのさ 』
先程まで君に襲いかかっていた頭痛はどこかに行ったようだ。
君は無意識に、ジェイコフの言葉に頷いていた。
『 まぁ、お前みたいなひよっこが、その黄金の闘気を纏えるのは、はるか先だろうがな!w 』
がはは!とジェイコフは元の調子に戻る。
だが、彼の語ってくれた言葉は真実であろう。
ここまでの飲酒は、あながち無駄では無かったかな。
少し覚めつつある酔いに心地よさを感じた君は、その金色の鎧を眺めた。
『 さぁ。もうお終いだ。鍵かけるぞ。先に戻ってろルーキー 』
その言葉を受けた君は、先ほどとは違うしっかりとした足取りで、仲間たちの元へ戻っていった。
その姿を見送ったジェイコフが。誰に聞こえるかでもなく、独り言ちた。
『 …そんな闘気をまとった剣闘士の事を 』
『 …人は 「 黄金聖闘士(ゴールドセイント)」 と呼ぶのさ 』
そう呟くと、ジェイコフは音を立てず、扉を閉め。その場から立ち去っていった。
~Fin~
※ 実は登録、差し替えちゃいましたw また後日談でお話しましょうw
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