日記にもあったように、ジュセとシュピさんは幼馴染でした。
しかし子供時代は、育った環境や能力・性格の違いもあって、特に接点も無いまま過ぎ去りました。
やがて、シュピさんはコンシェルジュに。ジュセは討伐隊員に。
それぞれ悩む所がありながらも、違う道を歩んでいきます。
そんな二人でしたが、ジュレットの大邸宅で運命的な再会を果たします。
シュピさんはそこで住み込みで働いていました。
そこへ偶然にも、大邸宅の主人に雇われる事になったジュセがやって来たのです。
ぎこちなくも、二人は初めて言葉を交わしました。
歩んできた道は違えど、お互いに、相手の人生の中に何か惹かれるものを見出しました。
二人は、その時から友達となったのです。
楽しい、楽しい日々だったそうです。
ジュセは元々、引っ込み思案で暗い子でした。友達も居ませんでした。
その性格を拗らせたまま成長したため、自分のやりたい事が見つからず、苦労していました。
ふらふらした生き方に対して、厳しく叱った事もありました。
あの子のためにやった事ですが、もう少し接し方を変えていれば今も傍にいてくれたのかと思うと、やりきれない気持ちになります。
話を戻しますと、そんなジュセが始めて心を許せたのがシュピさんだったのです。
ジュセは仕事が終わると、すぐにシュピさんの所へ向かいました。
たわいも無い事から人生相談まで、たくさん話をしました。
シュピさんはジュセにとっての居場所でもあったのでしょう。
それまではただ自分の事だけを考えて生きていましたが、居場所が出来た事によって、それを守るために努力するようになったのです。
自分のために頑張るのと誰かのために頑張るのでは、例えどのような行動であっても、大きく意味合いが変わってくるものです。
私は当時の場面を見ていませんが、きっと充実した日々だったのだと思います。
全ては、あの日から変わってしまったのです。