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空翔けるもちもち

アネット

[アネット]

キャラID
: XN083-363
種 族
: ドワーフ
性 別
: 女
職 業
: 戦士
レベル
: 133

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アネットの冒険日誌

2023-08-08 23:32:40.0 テーマ:ハウジング

ハム・ソーダーの冒険日誌「アネット王国探訪編」


「だが、奴が来たからなぁ…」

竜が『奴(やつ)』と呼ぶその人は、この国の国民から広く愛される国王。
竜(少なくとも彼の種族)は、成長と共に生命維持のための食事を必要としなくなるのだが、そんな竜に食事として持ってきた肉を「要らない」と言われて
「お前草食動物か?」と勘違いしてスイカを持ってくるその人である。

竜は、征服を試みた国が国外に援軍を求めるくらいは想定していたらしいが、あの国王はその想定を簡単に超えてきたと言う。
人間たちの都と竜たちの拠点を隔てる海峡を何ら障害とせず、真っ直ぐに竜の城へと向かってきたと言うのだ。

「まさか、ひとりで海峡を泳いで渡って来るまでは想定できなかったな」

呆れたように大きなため息を漏らすと、竜は自嘲気味に笑って見せた。

「拠点作りの労働力くらいしか居なかったからな、たったひとりの相手にその場にいた連中は誰一人襲い掛かろうともしない」

「とにかく俺は時間が欲しくて、それで奴に世界の半分をやるから仲間になれと提案したんだ」

「答えはどうでもよかったのよ、悩んでくれたらそれでいいし「一度持ち帰って相談する」なんてことになれば大成功だろ?」

「交渉が終わらない限り、戦いは始まらないんだからな」

確かにその局面を想像すると時間の経過は竜にとって有利に働くことは間違いないし、相手の戦意を少しでも削ぐ事が出来ればそれが戦局を変える一因になるかもしれない。
竜などという種族は何でも腕力と口から吐く炎で解決する乱暴な種族かと思っていたが、知恵も使って戦いを優位に運ぼうとする冷静さを持ち合わせている事に私が感心して頷いていると…
竜がチラリと私の様子を伺った後、虚空を見上げながら言葉を続ける。

「そしたら奴は…まぁ、一瞬も悩まなかった。」

「「何言ってんだ?全部よこせ」って…即答よ。」

「視界の端で奴の握り拳が一瞬光輝いたと思ったのが最後の記憶だったな…気が付いたら奴の家の庭先に転がされていたよ。」

そこまで話すと、竜は樽に残っていた蜂蜜酒を全部飲み干した。

「それでおしまい、じえーんど。」

「世界を手に入れようとした哀れな竜は、世界の半分も手に入れられずに洞窟の主となりましたっと。」

おどけるように両手を広げる竜に、私は哀れみを感じなかった。
もちろん相手が世界を征服しようとした魔王だからではない。
この竜からは、口ぶりに反して悲壮感のような物がまったく感じられないからだ。
それどころか、簡単な家具を用意したり洞窟内の居住性を向上させようとしたりと、この生活を楽しんでいるようにすら思える。
竜の真意を確かめたいと思ったが、はたしてそこまで踏み込んでも良いものかと考えていると、不意に竜の動きがピタリと止まる。
巨体に似合わない身軽さで音もなく洞窟の入り口へと移動して、しばらく外の様子を伺っていたかと思うと…
今度は慌てた様子で洞窟内へ戻って来て、無造作に床に置かれていたスイカを丸ごと口の中に放り込む。
聞いたことも無い音を立ててスイカがスイカジュースへと変わり、喉を鳴らしてそれを呑み込むと、突然の事に呆気にとられる私に「何も言うなよ」と口の先で指を立てて見せた。

事態を呑み込めない私は竜に言われるまでも無く言葉を失い沈黙が流れるのだが、しばらく竜の様子を伺っていると…
どうやら竜は洞窟の外へと意識を向けているようで、それは何者かが接近していることを意味しているようだった。
竜に習って洞窟の外へと意識を集中させてみると、かすかに聞こえる人の声が近づいて来るのが分かる。
次第にハッキリと聞き取れるようになった声が、私に初めてこの国へ足を踏み入れた日の記憶を思い起こさせたのは、その声の主に心当たりがあったからだ。
竜のおかしな行動の理由にもそれとなく察しがついた私は、洞窟の床を汚してしまったスイカの汁に砂をかぶせて誤魔化したり、何度も口元を手で拭う竜の様子を横目に見ながら…
「お前が『草食動物』でない事は黙っておいてやるよ」と心の中で呟くのだった。

                                   アネット王国探訪編【六日目】完
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