
~三日目~
日の出とともに始まった『海大祭』は、王様の開会宣言の後にいきなり朝食会に突入するという意表を突かれる展開だったが、その後順調に各種競技が消化され、現在は最終種目の『遠泳』が行われている。
大きな水しぶきを上げながら先頭を突き進むのは、お昼の休憩で大量の弁当を平らげレース直前まで大の字になって昼寝をしていたはずの王様。
決して効率的とは言えないフォームで、午後からの競技に備えて食事を控えた上で入念な準備体操をして海に入った他の参加者をみるみる引き離していくのがわかる。
砂浜の景観と安全を守るため、落ちているゴミに駆け寄る速さを競う『ビーチバナナ』
沖に浮かべたブイを要救助者に見立て、持ち帰る速さを競う『レスキューV』
高潮や津波からの避難訓練を兼ねた、高台へ駆け上がる速さを競う『全力石段』
既に終了した三つの種目でも圧倒的な力で一位を獲得してきた王様だけに、このまま全種目を制覇するのは間違いないだろう。
観客席を見渡すと、皆楽しそうに選手たちへ声援を送っている。
モナン市場の顔見知りやガブリィ宮で見かけたことのある給仕たち、昨日遺跡で世話になった案内人や宿の連中まで会場に来ているようだ。
浜から少し石段を上ったアレアレ広場には様々な屋台が店を出しており、その賑わいはこの国の中心が一時的に浜へ移動したかのような印象を受ける。
思い思いに祭りを楽しむ人たちを観察していると、観客たちからひときわ大きな歓声が上がり競技に何か動きがあった事を知らせる。
急いで海をふり返ると先頭を泳ぐ王様が最後のブイを折り返したところで、観客の声援が届いたのかそれまで以上に大きな水しぶきを上げて加速していく。
更に王様は、ゴール直前で水中にその姿を消したかと思うと…そこから勢いよく跳び上がり、空中で回転しながら砂浜に着地する余裕を見せつける。
派手なパフォーマンスで観客を喜ばせた王様は、沸き起こる拍手喝采に両手を振って応えながら悠々と歩いてゴールした。
アネット王国再訪編 続く