ゲームの進化って何だろう?
今、WiiUでずっと気になっていたSFC版FF5を初めて遊んでいて、
感じたこと、思ったことを少しお話したいと思います。
まず驚いたのが、ストーリーのシンプルさとテンポの良さ。
これが抜群にいいですね。
全く無駄がなく、けれどFC時代よりしっかりと作られている、
この絶妙な按配。
今のゲームはどうでしょう?
ドラクエ10のバージョン6のストーリーなんて本当に長く、
テンポが悪く感じます。
ボイスがつくようになったのは素晴らしいことですが、
ボイスがつくようになったことで会話シーンを充実させたいのか、
まあ、どうでもいい話、余計なことを長々と聞かされ、
次にやらされるのが、
「○○で○○を取ってきて」
「○○で○○が出るまでモンスターを倒してきて」
といったような、お決まりのお使いです。
だれたところにいつもの面倒なお使いが必ずくるので、
その時間がすごく無駄に思えますし、
感情移入を妨げることにもなっているんですよね。
SFC版FF5の場合、会話シーンは勿論あるけれど、必要な分だけです。
じゃあ、短いからといって物足りないかと言えば、
全くそうではありません。
グラフィックは2Dのドット絵ですが、
この愛らしいキャラクター達が実に良い演技をしてくれるのです。
2Dだからの誤魔化しもあるけれど、細部まで丁寧に作られており、
リアルを想像して見るとまるでコメディーになり、クスリと笑え、
気がつくとそういう想像をして見るようになっていて、
今度は逆に格好良いシーンは格好良く、
感動的なシーンは表情まで頭に浮かぶほど感動的に見えるようになり、
リアルな3Dのグラフィックだから優れているというわけではない、
2Dには2Dの表現の仕方があり、ゲームならではの面白さがある、
ということを教えてくれます。
システム面に目を向けると、こちらも面白いですね。
町やダンジョンでBダッシュができて早く移動できるのですが、
これはデフォルトであるわけではありません。
シーフという職業で「ダッシュ」というアビリティがあると使えます。
さて、これがもしドラクエ10でも同じだったらどうでしょう?
断言できますが、「特技ではなくデフォルトでつけてほしい」と、
提案広場に沢山の意見がくるでしょう。
そして、開発運営さんもそれに従い、すぐに改修するでしょう。
便利になるのはその通りだし、それならば正しいのだろう、と。
でも、これがやってみると違うのです。
シーフという職業を選んだこと、
「ダッシュ」というアビリティがあり、
それがあることで冒険がほんの少し楽になること、
そこに嬉しさがあるのです。
最近のゲームは何でも最初から便利になり過ぎで、
またそこを必要以上に気にするゲーマーも沢山出てきましたが、
果たしてそれは本当にゲームにとって正しいことなのでしょうか?
勿論、ドラクエ10のように広大な世界で、ストーリーも長く、
また沢山の要素が詰め込まれていれば、
短くできるところは短くした方がいいでしょう。
けれど、その広大な世界、長いストーリー、沢山の要素、
それこそが本当は無駄なのでは?
そこまで広大な世界じゃなくていい、
ストーリーの長さも会話シーン少な目の程々でいい、
要素も次から次へと足していかなくていい、
SFC版FF5を遊んでいて私はそんなふうに思いました。
初めての世界にワクワクしながら登場人物に感情移入していき、
分かりやすいゲームの目的がすぐに出てきて、
苦戦しながらも少しずつ先へ進んで、
レベルアップしたら何かを覚えてまたレベルアップしたくなり、
町に辿り着けば宿で疲れを癒し、
道中の戦闘で自然に貯まったお金で装備を一通り揃え、
城に行けば大きな出来事が待っている、
また、マップの隅々まで探索することが楽しく、
町や城にいる人達全員と会話をする、
面倒なようで苦にならず程好い時間でそれが全部できる物量、
これがきっと古き良きRPGと言われるものなのでしょう。
ドラクエ10のストーリーもこんな感じでいいと思うんですけどね。
個人的に会話シーンのボリュームは全然いらないです。
映画やドラマ、アニメでもこんなに長くはないのに、
どうしてゲームはこんなに長いものにしてしまうんでしょうね。
ゲームが一番必要なく、そこがゲームの大きな強みでもあるのに、
映画やドラマ、アニメに対する憧れが強いのかなぁ。
FFも今ではそうなってしまいましたが、実に残念なことです。