「ニンテンドーDSは5歳から95歳まで、
面白いことが好きなすべての人たちに
楽しんでいただける商品」
これは現在でも続いている任天堂のゲーム作りです。
でもこれは、それまでに築き上げた大きな信用、
確かな面白さがあってこそで、
任天堂だからこそできることだと言えます。
どのゲーム会社も簡単にできることではありません。
「ドラゴンクエスト10オフライン」
「ドラゴンクエストトレジャーズ」
では、この2つの作品はどうだったでしょうか?
私には小学生がターゲットのように見えました。
子供にも遊んでもらってドラクエのファンを増やそう、
そういう意図があったと感じました。
しかし現実は、ドラクエということで、
昔からのドラクエのファン、40歳以上の人達も多く手に取り、
そして、AAAタイトルを遊ぶような目でプレイしていました。
私はそこに違和感を非常に覚えました。
コロコロコミックの漫画を大人が真面目に読んで、
手塚治虫の漫画と同じくらいの高いクオリティーを勝手に求め、
勝手に失望しているような。
挙句の果てに「ドラクエじゃなかったら三流」とまで評価を下す。
パッと見たら、これは子供向けのゲームと分かるのに、
ドラクエは大ヒットするから万人向けだろう、
シリーズファンには嬉しい要素があるから、
昔のドラクエのファンにも遊んでもらいたいと思っているだろう、
そんな大きな勘違いがあったのではないでしょうか?
ゲーム会社の方も、1本でも多くソフトを売りたいから、
ユーザーを限定するようなことは言いたくない、
だから子供向けに作っていても、
「誰でも遊べる」というアピールをする。
でも、結果を見ると、お互い不幸になっているし、
誰をターゲットにしたゲームなのか、
それを誤解のないように伝えた方がいいと思うんですよね。
また、ゲーム作りも、
「ターゲット以外の人にも遊んでもらえたらいいなぁ」
という中途半端な欲は出さずに、
狙ったターゲットに向けてそれに合ったものを全力で作る、
子供向けなら難しい言葉や漢字は使わずに、
漢字には必ずルビを振るなどの徹底さも必要だと思います。
では、ドラクエ10の方はどうかと言うと……
ストーリーが続いていてドラクエのファンに向いています、
懐かしい音楽ばかりで昔からのドラクエのファンは喜びます、
時間稼ぎ要素たっぷりでやり込み好きの人は満足できます、
季節イベントの簡単なミニゲームでライトに遊べます、
ドレスアップやハウジングで女性も楽しめます、
可愛い見た目のプクリポがいて子供も感情移入できます、
などなど。
一見すると、あらゆる人に向けたゲームになっていて、
それは良いことのように見えるのだけれど、
でも、ユーザーはそんな都合良く分けて考えたりはしません。
衝突するのです。
万人向けのゲーム作りをするにしても、
西洋料理のフルコースを目指すのか?
それともファミレスのお子様ランチを目指すのか?
その2つが両立することはないのだから、
やっぱりターゲットははっきりと絞ってもらいたいものですね。
まあ、ドラクエはスライムが恐ろしい魔物扱いされているので、
子供向けなんですけどね。
笑顔で、牙もない、
体もぷにぷにしていて体当たりされても痛くなさそうなのに、
「どこが恐ろしいの?」という。
そんな可愛い生き物を無慈悲に剣で斬りつけてお金を奪う、
その残酷さは大人向けと言えるかもしれないけれど(笑)