あなたは勇者。
宝箱があったら片っ端から勝手に開けて全部自分の物にする。
お店に置いてある宝箱であろうと関係がない。
それが勇者?
ああ、これに慣れてしまった悲しみよ。
クラスメイトが友達の誕生日のために用意したクッキー。
誕生会に集まる7人分、プレゼントの箱に包んでくれた。
中身はクッキーで、友達のためということも分かっている。
そのクッキーは手作りなのだろうか?
どんな気持ちで箱に詰め、リボンを結んだのだろうか?
そんなことを想像しながら。
あなたは勇者ではないけれど、
地球の危機を救う使命があると告げられた主人公の仲間。
だったら、勝手に開けて全部持っていってもいい?
ドラクエをプレイしていると、当たり前のように開けてしまう。
そして、開けた後、そのクラスメイトに言われる一言で気づく。
自分はなんて思いやりのない行動を取ってしまったのだろう、と。
リアルでは当たり前のこと。
ドラクエを遊んだからといってそれは変わることはない。
けれど、それは当たり前のことじゃないとちゃんと表現すること。
その心遣い。
それがあるのとないのとでは全く違ってくる。
画面の向こうにはちゃんと人間がいるのだから。
欲望のままに何をやっても自由なゲームだからこそ。
もしもドラクエにもそんなリアリティーがあったのなら、
ドラクエ10やプレイヤーもまた違ったものになったかもしれない。
「だいぶ ながいじかん
ぼうけんを
つづけているようだね。
おせっかいかもしれないが
ちょっと きゅうけいしては
どうだ?」
スノーウッドからメリークリスマス。