タレントでゲームファンでも知られる伊集院光さん。
ドラクエ10も初期に少しだけ遊んでいたことがあります。
そんな伊集院光さんが、
「実況パワフルプロ野球」というゲームについて、
10年以上前にラジオで語っていた言葉を紹介したいと思います。
価値観や好みは人それぞれ、娯楽に正解はないので、
あくまでも、こういう考え方もある、
こういう決断に至ったゲームファンもいる、
という一例としてお読みいただければと思います。
俺の中でパワプロとついにお別れの時が来た。
それこそパワプロは15年以上前からやっていた。
ついに来たね……嘘であって欲しいって思ってる。
パワプロには僕の好きなサクセスモードっていうのがあるんです。
これが凄い好きで、多分これに費やした時間は相当なものになる。
パワプロ最新作の情報を聞いてビックリした。
博士が成功するように皆で必死に願掛けや法則を考えたりするぐらいハマっていた。
失敗したり成功したりっていうのが博士の醍醐味だったんだけど、どうやら今作では『ダイジョーブ博士が失敗しても時間を戻せる』というアイテムが入るらしい。
しかも有料で一回100円。リアルマネー。
昔、ハマってた時に作ってるプロデューサーさんに取材をする機会があったんです。今から10何年前ですね。
当時の自分は新しい選手をサクセスモードで無理して作ってたりしてた。西武の平塚が阪神に入って来ました、みたいな。
そこで当時のプロデューサーに、
「エディットモードみたいなのを付けて、好きなパラメーターの選手も作れます、だけどそれで作った選手はちゃんと分かるようなシステムにすれば良いんじゃないか?」
と言ったんです。
そうしたら、プロデューサーは、
「そういう夢を叶えることも大事。だけどバランスはある。」
「オールA選手がエディットでいくらでも作れるってなった時、サクセスをやる人が減ることも考えられる。」
「一生懸命やってるユーザーの「こうなったらいいなぁ。」ってところと、面白いゲームになることは、別かもしれない。そこを冷静に判断しなきゃいけない。」
と言っていたんです。
そのプロデューサーは「エディットモードを作らないと思う。」って話をしてたんです。
でも今や『100円取ったら何でも出来る』ってことになると、もう何だか分からなくてさ。
しつこいって思われてると思うし、ゲーム好きからすれば、「アイツは何言ってもダメ。課金制、DLCなどに対していつも否定的だ。」って言われるけど、やっぱりゲームの面白さの中心のところに『お金で何とかなる』とか『小銭を稼ぐ』っていうのは、絶対に間違ってると思うんだ。
ユニフォームや面白い顔の選手とかは課金でも良いと思う。何とも思わない。
でも、本末転倒だなと思うのは、他人とネットを介してゲームが出来るってことや対戦出来るってことが充実してきたにも関わらず『お金で何とかなる』っていうことがね。
今、色んなゲームで、その傾向が強くなってるから、「それが時代の流れだ。」と諦める人もいる。「使わなければ良いじゃん。」って人が結構いるだろう。
だが俺はそうは思わない。
それだったら1000円で20勝、1000円入れると優勝でもいいじゃない。
でも、ゲームってそうじゃないんじゃないかな。
色んなゲーム、シビアさが面白いって言われてたゲームの中に、『金で何とかなる』ってなってくると、どうしようもないよね。
昔、パワプロにダイジョーブ博士が課金で再手術頼めるようになったらやってしまうのではないかと半分ギャグで書いたことはあった。
そうじゃないよね。痒いところに手が届く感と届かない感とのバランスが面白いのであって、そこに課金制を付けてしまうのはいかがなものなんだろう?
ゲームの製作者って、今までゲームをやっていたわけじゃん?
一回もゲームやったことなくてゲーム作ってる人なんていないと思うんだよね。
そんな人はいちゃいけないと思う。
ゲーム製作者は、これで良いんだろうか?