なんでもたべる一般冒険者がレンダーシアを旅する妄想です。拙い書き散らしではありますがどうか生暖かい目でお付き合いください。お付き合い頂けなくても自己満足で書きます。
※独自解釈の塊です
※一部魔物を食べる描写があります
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グランドタイタス号の船室、私は特にすることもなくぼーっとしていた。時間を無駄にすることは得意だ。乗船してから数時間は経つけども、この船の乗船パスを購入できた胸の高鳴りをまだ覚えている。いや、今も未知の冒険に高鳴ってはいるのかな?
毎日欠かさず討伐隊の依頼を受け、コツコツと貯めたゴールドでようやく買った乗船パス。本当に苦労したものだ。デマドード高地のスカルゴン討伐なんか、町から遠いし敵は強いし骨だけだから食べられないしで最悪だった。
オルフェア地方のアルミラージ討伐はなかなか良かった、比較的楽に戦えて肉も淡白で美味しい。エルトナ大陸の捨てられた城にいたオークキングも脂が乗ってなかなかいける。ケラコーナ原生林のれんごくちょうも舌を刺すような刺激的な食感で……まずい、思い出したらよだれが…
聞いた話によるとレンダーシアには五大陸には生息しないモンスターも多数いるらしい。まだ見ぬ大地、まだ見ぬ食材、うーん、着くのが待ちきれない!
たった今船内放送が流れた。もうじきグランゼドーラ港に着くみたいだ。下船の準備を始めなくては。
グランゼドーラ港を出て真っ先に目に入ったのは、話に聞くグランゼドーラ城……ではなく、綺麗な公園だった。
若干の肩透かしを食らいつつ、しっかりグランゼドーラ城を目に収めると早速街の外を探索することにした。
門を出るとバッチリ整備された石畳を外れ、青々とした草の生えた地面を踏み締める。
これこれ、この感触だ。
よく慣れた心地よい土の感触に何度かその場で跳ねると、カバンから青いぷるぷるの物体を取り出す。
目でも回したように空中で何度か回転するとぐぐっと体を伸ばす。
取り出したのはホイミスライムと呼ばれる魔物だ。当然だが、わるいホイミスライムではない。
旅の同行者の頭を軽く撫でながら「ここでもよろしく」と声を掛けると任せろとばかりに触手で力こぶ(?)を作ってみせる。頼れる仲間の姿に思わず笑ってしまった。
1人と1匹で街道沿いを歩いていると、程なくして魔物と遭遇する。
「キラーパンサー!おとぎ話じゃなかったんだ!」
小さい頃に読み聞かせてもらった伝説のまもの使いのおとぎ話に出てきた地獄の殺し屋、キラーパンサー。五大陸ではちっとも見かけなかったため伝説上の魔物だと思っていたが、まさか実在したとは。すっかりはしゃいで駆け寄り、撫でようとすると……
つうこんのいちげき!
「痛っっっっったぁ!?」
噛まれた。思いっきり頭から噛まれた。死ぬかと思った。ホイミスライムが慌てて私にベホイムを唱える。あんな隙だらけの姿を晒した私が完全に悪いのだが、傷を回復されて痛みが引くと同時にふつふつと理不尽な怒りが湧いてくる。衝動に任せて私は剣を構えた。
相手は伝説の魔物だが、私だって故郷の村では一番の剣士だったのだ。飛び掛かってくるキラーパンサーの腹に向けて盾で体をかばいながら体当たりを食らわせる。空中にいたため踏ん張れなかったキラーパンサーは数mふっとんだ後、良い場所に入ったのだろう、しばらく動けないでその場にうずくまった。そこにすかさず剣を構え、一呼吸のうちに2度、斬撃を叩き込む。はやぶさ斬りと呼ばれる技だ。私の会心の一撃が決まり、キラーパンサーは大きくのけぞる。このまま順当に行けば勝てそうだ。
快調だが、なんだか憧れの魔物を倒してしまうのは忍びないような気もする…
すっかり怒りの収まった私はホイミスライムに目配せすると、意図を察したホイミスライムがキラーパンサーと何やら会話のようなものを始める。しばらくすると、キラーパンサーは満足そうに去っていった。
大人しくみのがされてくれたことにほっと胸を撫で下ろすと、ぐぅ~っと腹の虫が鳴る。
今から野外で食べれるものを探すよりは大人しく帰った方が良いと判断し、私はグランゼドーラの宿屋へと向かった。
宿の食事は大国に似合いで、非常に豪華で美味しかった。