仕事がアホみたいに忙しくても、人間酒を飲んでくだをまく時間はあるんである。
うわーははははー。
ということで、生きているということ。
・酔っ払うということ
なお、酔っ払いに人権はない。
酔っ払い当人が言うのだから間違いない。
・忘れるということ
酔っ払いのデフォルトと若いひとには思われがちだが、実は殆どのひとがちゃーんと記憶を保持している。
ちょっと気が大きくなって、かつ事後、忘れたふりをよくするだけだ。
そのくせ、実は意外と狡猾なところが残っていて、相手に無茶振りして、その反応を観察するところがある。
酔っ払い無罪ということはないが、案外そこで人間扱いされたか否かというのを酔っ払いはよく見ている。
なにより始末に終えないのは、それを覚えていることだ。
・冒険するということ
繰り返す。酔っ払いに人権はない。
ただし、人権がなかった間のことを覚えている困った生き物だ。
我々は、射殺されても文句言えないと思う。うははははー。
ただ、我々が普段じゃ踏み越えられない垣根を踏破したりするのも、やっぱり酒を原動力にするのである。
繰り返す。酔っ払い無罪ということはない。
だが、その酔っ払いのささやかな冒険で繋がる世界というのが確かにある。
何故かは知らない。若輩の私に理解できる由もない。
ただ、それはそういうものなのだ。
酔っ払いに優しくする必要などなにひとつない。でも、彼らはその時にしか見えない価値観で、世界と格闘するのである。うはははは。
・駆け抜けるということ
どれだけみっともなかろうが、後悔する暇もなくただひたすら突っ走ることがある。
それがどれだけ不毛なことであろうとだ。
それは大抵不幸しか生まない。
でも、それがいとおしい。
死に物狂いで突っ走った結果、それが大いなる間違いでしかなかったというのは往々にしてよくある。
死にたくなるのは、そういう前例って腐るほどあるということだ。
だからこそ、顔も知らない誰かが受け止めてくれる。サリンジャーのライ麦畑のあれのように。
そのようにして、駆け抜け切れなかったケースというのは意外と多くあるものだ。
とても、そう、とても恐ろしいことに、世界は愛に満ちている。
どれだけ突っ張って駆け抜けたとしても、私たちの居場所は、帰る場所はこの世界にしかなく、それは酒の力を借りてさえ、大半が生還を余儀なくされたりする。
むろん、駆け抜けきった剛の者もいるだろう。社会の懐の深さすら知らず、嘲笑いながら孤独のうちに幸せに野垂れ死んでいくひともいるだろう。
生きていることが苦痛だから、時に人は駆け抜けようと足掻く。これは誤魔化しようのないことだが、苦痛や苦味しかもたらさないものが、時に相対的に世界を優しく見せることがある。
酒だ。
酒に酔えなきゃ生きていけないのはクズだ。それはもちろん。
でも、酒なしで生きていけるのが聖人で非の打ち所がなくて何の後悔もない人生を送れているかというと、そんなこともない。
暗喩だよ。わかるよな。
・たのしむということ
それは、いきていてよかったとか、だれかをすくうとかすくわれたとか、そういう高尚なことじゃない。
ただ、ふっと何かの衝動に負けちゃって、頬を緩めるということだ。
敗北だ。
でも、それでいいのである。
敗北し続けるということは、何かと勝負し続けているということで、
それって生きているってことだ。
もちろん、勝ってなにかをやり遂げるということは、素晴らしいことだ。
勝たないことを選び続けるというのは、ゴミに過ぎない。
でも、その上で、戦い続けて負け続けるというのは、それとイコールじゃないんである。
我々は生きて何処かに辿り着こうとする生き物で、時に駆け抜けようとして失敗して、それでもなお走り続けることを止められないのだ。
それは幸せでもなんでもないかもしれないが、そこで歯を食いしばってへへっと笑える奴に、我々は心底からぞっこん惚れ込んでしまう。
そういう益体もない性質の生き物なのである。
賢いのもいいことだけど、愚かに踏み切らなきゃ届かないものだって確かにあるのだ。
という訳で、酒の酔いに任せてモヒカンにしました。
取引先にウケは取れた。悔いはない。
慈悲も。
後日談
非表示にしてあとでそっと出しにする予定だったこの出来事が変に広まったらしく、来週も別のお取引先が視察にお見えになるのが確定に。
いやいやいや。待ってくれ。北斗の拳みたいな立派なトサカじゃないから。
ソフモヒだから。