ベラさんベラさん。
「……おひさしぶり(チッ」
あれ、今舌打ちみたいな音が……
「気のせいじゃないかな。どうしたの」
ご挨拶にうかがっただけです。
……バカンスにいらしたんですか。
「そうなのよ。甘いものを食べに」
言っちゃなんですけど、どう見てもこの国って甘いものが獲れそうな風景じゃないんですが……
「そこに墓があるじゃない」
墓?
「墓。わからないのならいいわ」
いや、待って。なにそれすげえ気になる。
墓から採れる甘味ってなんだよ。なんなんだよ!
※「それはそれとして」
いやいやいやいや。
「それはそれとして(強調)、あんたも週末で遊びに来たの? つまり私に甘いものを献上しにきたと」
つまりが全然前後を結びつけてねえよ! ていうか、どこの中華の皇帝なんだよそれは!
「細かいわね。つまりハゲるわよ。ああ、あんたはツルツルだったわね。ごめんなさい。気を悪くしないでね」
これは仮装だよ! まだおじさんハゲてないよ! おじさんふさふさだよ!?
「つまり時間の問題ってことよね。そんなことより」
また自分で始めた話題を放り投げた!?
※「そんなことより、お菓子の献上はまだ? 待ちくたびれてるんだけど」
いやいやいや。訳がわからないし。
地産の甘いものを召し上がったらいいじゃないですか。
「あるの、そんなの?」
設定こっちに放り投げてきた!?
「実際食べられそうなのなんて、あなたくらいしかいないわよね」
い、いや、それもどうなんですかね(震え声)
と、とりあえず、チョコレート色の地面とか。木とか。
ベラさんならきっと美味しく召し上がれるって、私信じてますから!
「…………」
…………(一筋の汗)
「…………」
…………(ダラダラダラダラ
「……つまり、きっとあれね。木から甘いものがなるのよね」
お、おお! そ、そうですね! その設定はアリですよね!(必死)
「つまり、妖精の国と同じく春を取り戻せばお菓子がなるんじゃないかしら」
なるほどなるほど!
「つまり、お日様が照ればいいのよ。つまり、晴れになる儀式が必要ね」
……ん?
「つまり、てるてるぼうずが必要よね。あらこんなところにいい素材が」
……あの。この荒縄でできた素敵な首輪はいったい……
「つまり、てるてるぼうずが必要よね。おひさまによく見えるように高いところに吊るしておかないと」
いやあの。縄の一方を持たれて飛ばれても。
私飛べませんし。ていうか、首が絞まるんですが。あの。
「つまり、てるてるぼうずが必要だもの。いやー、お菓子がないから仕方ないわよねー。西部劇風にそこらじゅうの木から吊り下げられた縛り首の罪人って、きっとハロウィンにもマッチするわよね」
~~~!?(察し)
「つまり、てるてるぼうずということよ。問題ないわね。そんなにじたばたアピールしなくてもあなたのやる気はわかってるから。つまり、ありがとう」
~~~! ~~~!!
「まあ、死なない程度にしておいてあげるわよ。顔色がどす黒くなって動かなくなって5分くらいしたら下ろしてあげる。つまり、今は真っ白だから問題ないわね」
※(木の枝になんとかしがみついて、なんとかおりてきた)
~~、……いやいやいや! 死ぬから! 本当に死ぬとこだったから!
「(チッ」
また舌打ちした!?
「気のせいよ。まあ、トリックオアトリートってこういうことよね。殺伐としてていやだわ、ほんと」
ハロウィンて修羅の儀式かなんかだったんですか……(白目)
「大丈夫よ。何かあってもバレないわよ。お墓ならそこらじゅうにあるじゃない」
無理だよ! さすがに甘い香りの国に腐臭はまずいよ!
「バレてないから大丈夫よ」
一段目の伏線をここで回収するのかよ!?
そりゃ墓から甘味取れますよね!
「そう、お菓子を持ってないと、この世界来られないものね」
そんなドロドロしたハロウィンイベントの裏側なんて知りとうなかったんや! 誰も彼も一皮向けば悪鬼羅刹魑魅魍魎やないか!
「僕と契約して、魔女になってよ!(直球)」
こんなの絶対お菓子いよ!
※「「おあとがよろしいようで。どうもありがとうございました」」