背後から少しずつ、別れの気配を感じた。
笑顔の裏で、確実に、その日が近づいているんだと予感した。
彼女は自身のゴールドをアイテムに変え、廉価でフレンドに販売していた。
休止を予測出来たのは、自分も辞める時「そうするだろう」という行動を彼女がとっていたからだ。
予感が確信に変わったのは、つい先日の事だった。
「風流せい!」そう言って、彼女は100万G以上もするアイテムを100G以下で販売していた。この時の日誌は、原哲夫先生の「花の慶次」最終話そのものだった。この後、この主人公は二度と表舞台に出る事はない。
思わず彼女の過去日誌を確認する。
最初に大盤振る舞いを始めたのはいつだったか。いつから、休止を心に決めていたのか。
多くを語らずアストルティアを去ってしまったが、引退ではなく、休止と言っていた事がせめてもの救いだ%PICID-436093226%彼女のかき置きメモに住所が記載されていた。
恐らく、ここにフレンドへ向けた最後の仕掛けをしているに違いない。そう思い、インして早々その家に乗り込む。
今もあるのかどうかは分からないが、やはりこの家には、彼女らしいプレゼントが用意されていた。
ただ、そんな物よりも、この家の2階の内装に目が釘付けになった。
そこは、ドラクエ10に登場するキャラクター達の幸せな姿が描かれた家だった。ドラクエ10と彼女の思い出が詰まったような家だった。
こんなにも、このゲームを愛していた彼女が、このような決断をするに至った経緯には、相当な葛藤もあったのだろう。
それでもこうした方が良いと思い、出した結論なら、応援したい。人はいつだって自分が幸せになるよう選択すべきだ。
少し安心したのは、この家には、まだ高級家具が山程残されていたという事。俺なんかが心配しなくても、この家だけでカワサキ一派の全財産を軽く超える資産価値はありそうだ・・・ははは凄いな・・・orz
%PICID-436086627%このスライムチャイムは、30件以上のメッセージが格納されると、30件からあふれる過去のメッセージが消去される。さっき1件メッセージを入れたんだが、消えてしまう前に確認して貰えるかなあ。このメッセージだけは、インしないと確認できないんだけど。
時にドラクエから離れるのも大事だと思う。俺たちはやはり、リアルの中で生きている。
でも、少し遊びたくなったら今日でも明日でも、いつでも良いんで戻ってきてなー。
今までありがとう!また逢う日まで!
※タイトルを見て「お!いよいよカワサキも引退か」とガッツポーズした方。そして、辞める時はフレンドにGをばら撒くという話を聞いて「はよ辞めろや!」と思った方。紛らわしいマネして申し訳ございません俺は辞めへんで~~!!